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帝国陸海軍、最終決戦開始ス  作者: かめ
マリアナ諸島攻略作戦
35/39

上陸

陸戦

「先発隊、乗艇!」

 航空隊が敵戦艦を牽制している間に、陸軍部隊がサイパン島南西側に上陸を始めたのが11月4日午前7時ごろであった。複数の大発艇に分乗した先発隊600名が輸送艦に搭載された戦車と共にサイパンに向かった。「大和」が砲火をもって援護する。「長門」「榛名」は敵艦隊の出現に備え、警戒に就いていた。


「敵上陸部隊接近」の通報を受けた米軍守備隊は、迅速に防衛体制を整えた。尤も、大口径の戦艦砲の射撃によって海岸線の対戦車火器は大きな被害を蒙っており、地上破壊された航空機などから回収した50口径機関銃―これまでの戦歴により、日本戦車に対して有効であるとされていた―等がその穴を埋めていた。

 だが上陸した日本軍戦車は彼らがこれまでに遭遇したものとは大きく異なっていた。少なくとも海岸線で防衛の任に就いていた多くの兵士たちはそれを目の当たりにすることになった。

 敵戦車をよく引き付けてから射撃を開始するよう命じられていた彼らはその命令に忠実に、日本軍戦車が距離70mに入ってから50口径機関銃の射撃を開始した。射弾は全て、弾かれた。

 接近した日本戦車の中でも最前列を行くものは、彼らがこれまで戦ってきた97式中戦車に比べ、圧倒的な大きさと、大口径の主砲を備えた近代戦車だった。後続する戦車は大きさこそ97式と変わらないが、大型化した砲塔とこれも大口径の主砲を備えていた。

「Tiger?」

 ヨーロッパ戦線を経験した軍曹がそう呟いた。実際、その日本戦車はサイズにおいてタイガーⅠ型とほぼ同等であった。

 思い出したように射撃が開始されたが、それは75mm主砲と車体に装備された37mm副砲の射撃によって即座に沈黙させられた。続いて後続の各車が猛砲撃を開始する。機銃陣地の一角に開いた穴から、戦車に随伴していた日本軍歩兵がなだれ込み、防衛線は分断された。

 絵に描いたような浸透戦術であった。


 米軍守備隊の兵士たちが目にしたのは最新鋭の5式中戦車と、4式中戦車、3式中戦車であった。そして同日午後7時には防衛線を突破した部隊の一部はイズリー飛行場(旧称アスリート飛行場)まで1000mの地点に到達していた。

「5小隊、前進!」

 戦車第1連隊第3中隊第5小隊長、福田定一少尉の指示が飛ぶ。福田指揮下の3式中戦車2両、1式中戦車1両が福田車に続いて前進する。

「11時方向に敵M4中戦車3両!」

 小隊2号車から通信が入る。福田が慌ててそちらに目をやる。

「全車散開!4号車、隊長車と左翼側に展開。2号車、3号車、右翼側に展開」

 各車が展開を終える。

「目標11時方向、敵先頭車!」

「照準よし!」

-ッ」

 福田車の75mm砲が火を噴いた。

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