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帝国陸海軍、最終決戦開始ス  作者: かめ
房総沖海戦
18/39

敵機来襲

 「ユニコーン」艦上から9機のソードフィッシュが発艦した。全機、500ポンド爆弾を搭載している。撃沈することよりも空母としての戦闘能力を奪うことを優先したのだ。戦闘機は夜間の攻撃では位置を見失う可能性が高いため、参加していなかった。

 更に、「ユニコーン」の搭乗員達は大西洋でUボートへの夜間爆撃を行い、戦果を挙げてきた者が多い。夜間爆撃は最も得意とするところであった。

 1機のソードフィッシュが甲板上を滑るように動き出し、発艦した。続いて2機、3機と発艦して行く。

 闇の中で、計器類のの蛍光塗料の明かりだけが浮かび上がっていた。


 この頃、「鳳翔」は平穏な航海を続けている。一度は見失った「酒匂」も既に後方に視認しており、あと数分で追いつくと思われた。

 その時、

「『酒匂』、主砲発射!」

 驚くべき報告が上げられた。

「目標は何だ?」

 大須賀は慌てて見張り員に問うた。

「不明です。視認できません」

 にわかに艦内が慌ただしい空気に包まれて行く。

「『酒匂』より信号、敵機多数、貴艦ニ向ウ。敵機ハ複葉機ナリ」

「対空戦闘用意、直掩機、全機発艦させろ」

 準備の整った機体から、次々と発艦する。編隊を組む時間すらないため、個別に敵機に向って行く。

 十数秒もすると、上空に曳光弾の火箭がちらほらと見えるようになった。既に数機が交戦したのだろう。時折爆発が見えるが、敵味方は判別できない。ただし戦闘は「酒匂」の付近に集中して起こっているように見えた。

 だが、

「敵機直上、急降下!」

「なに!?」

 英軍は闇にまぎれてソードフィッシュのうち4機を迂回させ、「鳳翔」攻撃したのだった。

「機銃、射撃始め」

 舷側スポンソンから機銃が射撃を開始する。

 だが例によって攻撃は意味を成さない。

 駄目だ、やられる。誰もがそう思ったとき、敵機の眼前で多数の爆発が起こった。

 1機が爆発にもろに突っ込み、機体を空中分解させた。

 僚機が撃墜されたのを見て怖気づいたのか、2機が当たりもしない距離から爆弾を投下し、機体を翻した。

 「酒匂」が援護射撃を行ったのだ。全速で「鳳翔」へと接近した「酒匂」は、辛くも間に合ったのだ。

 だが1機が変わらず急降下を続ける。

 「鳳翔」「酒匂」の対空射撃が激しさを増したが、敵機は巧みに射弾を回避し、投弾距離に入った。

 だが、投弾直前に敵機が機首から火を噴いた。機銃弾がエンジンを直撃したのだ。

 そのまま海面に激突するかと思われたが、敵機は驚くべき行動に出た。

 機首を上げ、「鳳翔」に突っ込んできたのだ。

「撃て、突っ込んでくるぞ!」

 機銃弾が殺到するが、敵機は構わず突進する。そして、「鳳翔」の舷側スポンソンに体当たりした。

 衝撃が「鳳翔」を襲った。

「被害報告!」

「左舷機銃群全損、火災発生!」

「消火急げ、ガソリンに引火したら最後だ」

 気化したガソリンに引火したら、「鳳翔」は爆沈する。

 だが、爆発は起こらなかった。全速航行中であったため甲板上に風が吹いていたことでガソリンが吹き飛ばされ、消火が間に合ったのだった。

「直掩機を収容しろ。収容後、本艦は当海面から離脱する」

 機銃が半減した状態で爆撃を受ければ、今度こそ「鳳翔」は沈む。敵が再攻撃を行う前に、何としても離脱する必要があった。

 だが実際のところ「ユニコーン」の搭載する攻撃機はこの9機だけであり、再攻撃の余裕はなかった。

 

 損害を受けはしたものの、午前4時頃、「鳳翔」は横須賀に帰還した。

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