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かずちゃんの発した言葉に私はつい顔をあげてしまった。
「俺、自分のことしか考えていなかった。」
そこには、悲しそうに微笑むかずちゃんがいた。
「琉依に寂しい思いをさせていたのはわかっているつもりでいた。俺なんか、たった2日間で狂いそうになるのに・・・」
かずちゃんがこの2日間のことを言っていることに気付くのにしばらくかかった。
「辛いんだったら、もうやめるか?」
えっ・・・とびっくりして目を見開いてしまった。
そして、私の前にはあるかずちゃんの真剣な顔と声がなおのこと真実味をあびていた。
「・・・もう、いらないなら、そう言って」
もう、涙なんかしるもんか・・・
かずちゃんは私と別れにきた。
でも、私はかずちゃんのことが好きだ。
そのことだけはわかってほしい・・・だからおとなしく『ハイ』だなんて言わない。
「なにを言っているんだ?」
私の言葉に弱気だった声が荒い怒鳴り声に変わりつつあった。
「・・・私のこと好きじゃないんでしょう?」
次にくるであろう言葉に耐える為に構えた。
「誰がそんなことをいった?お前は何を考えているんだ?いきなり電話してきて電話を勝手に切ってそのまま電源を切られて連絡を絶たれたのは俺だぞ?」
まくしたてるかのようにかずちゃんは勢いよく言葉を吐いた。
「連絡してこなかったのはそっちじゃない。いつもいつも私から連絡しないと連絡しないし、不安で声が聞きたくて電話したら電話してくるなっていうし。どうしても好かれてるなんて思えなかった・・・電源切ったのは、かずちゃんに別れるって言われたくなかったから」