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「で、別れたの?」
昼休み、机に弁当を広げると親友が口を開いた。
「んー」
その言葉にどちらともとれない唸り声を出した。
「携帯、まだ電源入れてないでしょう?」
あの電話から2日が経った。
私はあの時から携帯の電源を入れていなかった。
電源さえ入れていなければ、連絡がこなくても落ち込むことはない。
というのは建前で、あんな電話の切り方をしても連絡が来なくなるのが怖かった。
それに連絡が来たとしても、かずちゃんから別れると言われるのが嫌だった・・・かずちゃんと別れたくなかった。
かずちゃんのことが好きだから・・・
いくら頑張ったってかずちゃんから見たら私は子どもかもしれない。
でも、好きの気持ちに年の差なんて関係ない
それに、かずちゃんを好きな気持ちは誰にも負けたりしない。
「・・・・私、帰る。みっちゃんに早退って伝えといて」
弁当を片付け机の横にかけてある鞄を取り教室を後にした。
かずちゃんに会いたい。
会ってちゃんと話をしたい。
かずちゃんの気持ちを知りたい。
もし、かずちゃんの気持ちが私になかったら・・・
そう思うと怖いけど、かずちゃんに振り向いてもらうように頑張る。
出会った頃のように・・・
鞄を漁り携帯を探したが、思ったとおり中には入っていなかった。
このままかずちゃんの会社に向かおうかとも思ったが、連絡が取れない。
兄さんに呼んでもらうという手もあるが、きっと兄さんは私たちが付き合っていることを知らない。
一回、家に帰って携帯の電源を入れよう。
それから、かずちゃんに電話しよう。