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ポタッ・・・
膝の上に丸いシミができた。
何だろう・・・
そう思ったのは一瞬だった。
今度は視界がどんどん霞みかかった。
そして、一つの答えに辿り着いた。
いつの間にか泣いていたんだ・・・
電話の画面を見ると真っ黒になっていた。
きっと、無意識に電話を切ろうと誤って電源を切ってしまったのだろう。
かと言って、今更電源をオンにしても一番ほしい人からの連絡が来ることがないことがわかっている。
彼との唯一の繋がり
それが、断たれてしまった今
私にとってはがらくた同然の代物になってしまった携帯
どんどん溢れてくる涙
拭うことも忘れて私はその場に倒れるように声を押し殺し、泣き崩れた。
「Happy birthday♪」
クラスに入るなり「ぱぁーん」と複数の音とともに頭にきらきらした紙吹雪が降ってきた。
いきなりの出来事にびっくりしてほうけていると後ろからパコンッと頭に軽く衝撃を受けた。
「・・・った・・」
頭を押さえ振り向くと先生が出入口に留まるなと言いたげに立っていた。
「ほら、ホームルーム始め・・・何事だ?」
私を押し退け教室に入ると床に散らばった紙ぐすを見て眉を寄せた。
「琉依の誕生日なんですよ。」
クラスメートの一人が言った。
「おー、そーか。おめでとう。それじゃープレゼントをやろう。P.48の問3な。」
楽しそうにニヤニヤしながら先生はみんなに席に着くように促した。
そして、私にはチョークを手渡した。
なんで私がこんな目に・・・
騒ぎだてたクラスメートに睨みをながら、先生に言われた問題を解きさっさと席に着いた。