一章一話 基
短く小出しにして行けたらな、と思っています。
ご意見ご感想をよろしくお願いいたします。
俺たちの通う学園、桃源学園は小学から大学までの一貫教育の学校だ。
様々な分野の学問、武道、スポーツが総合的、もしくは専門的に学べるシステムがある。
その中でも有名なものが、Biotechnology、生体工学を基とした生体にまつわる研究、らしい。
らしいって言うのは実際この目で見ていないから。
しかし火のないところに煙は起たないと言うし、本当なのだろう。
学園内で俺がよく行く場所がある。
桃源学園内にある櫻幻郷なる広場だ。
名の通り桜が常に咲き薫る不思議な空間である。
ここは昔からそうなのだ。時間が切り取られたように、一年中桜が咲いている。
学園ができる前からあるこの場所は、何故か俺の心を穏やかにする。退屈な世界も、まだましに思える。
「やっぱりここか、昼以降姿が見えへんから探しとったのに。」
「クレハ?」
「そろそろ計測の時間やで、行こ?」
――計測。それぞれの首席特待生に対して行われる特別カリキュラム。
俺は武道系の首席特待生、クレハは演算系の首席特待生。
そしてハルキ、ユリもそれぞれ首席特待生なのである。
システムの内容は武道系の場合、主に体力測定、対人戦闘、イメージシミュレーションなど…
はっきり言って退屈しのぎにもならない。
だがこれを受けなければ特待生の権利を剥奪されるので受けないわけにもいかない。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥………
………‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「ん?何か言ったか?」
「いや?何も?」
この声が俺への問いかけで、世界がずれる前触れだなんて、わかるわけもなく、ただ退屈なシステムを受けに俺はクレハの後に続いて櫻幻郷を離れた。
まだ退屈なのかな…………
………始まりはすぐそこだよ