出会い
私、高橋真由美は失恋した
出会いは高校3年の夏頃だっただろうか。
友達に「真由美と考え方が似ている人がいる」と紹介された。
初めて会ったのは友達を含めて三人で。
家の近くのコンビニ前。
車で来たあなたはたくさんのアクセサリーをつけて、
少し緊張していた気がする。
私も、男の子とデートとかあまり経験がなかったから、
とにかくドキドキしてた。
サングラスでよく見えない眼差しを初めてちゃんと見たのは
初めて二人でデートをした時。
待ち合わせの駅の改札前で会ったあなたは、いつもしているサングラスを外していた。
正直、細い目の男性は好みではなかったけど、
3つの歳の差を忘れさせてくれる、可愛い笑顔の男性だった。
その日は、街をブラブラして、あなたの好きな楽器屋にも行った。
緊張して手も繋げない私達は、まるで初恋同士のカップルみたいだった。
二人でデートを何回か重ねた時、
静かな所に車を停めて、話していたけれど、
ずっと気になっていた事を、私はあなたに打ち明けた。
「私達って何なの?」
しばらく沈黙があった。
・・・
・・・
・・・チュッ
「真由美、好きだ。付き合おう」
私のファーストキスだった。
感動して泣いてしまった。
あなたにしがみついた。
そしてまた少しして・・・
「返事は?」
あなたの催促に
「私も好きだから・・・付き合いたい」
一生懸命言葉を出して伝えた。
それからまたキスをされた。
二回目はディープキスだったけど、私はまだよくわからなくて、
あなたはきっと困っていたね。
晴れて恋人同士になった私達。
でもちょうど私は浪人してて、予備校通いだった。
夜遅くまでデートをしては親に怒られた。
遅くなると、立て続けに携帯に着信があった。
それを無視して深夜に帰った時、お父さんに殴られた。
何をしていたのかと聞かれたが、
本当のことは言えず、「友達といた」と繰り返した。
大学だって行きたかったわけじゃない。
お母さんが学生の頃、裕福じゃないので4年制大学に通わせてもらえなかった。
だから子供には通わせてあげたい。
たとえレベルが低くても、学費が高くても。
それがお母さんの願いだった。
ここから少し私の家のことを書きます。
高学歴の家系。
私だけ、少し浮いてるのはわかっていた。
小学校までは、成績優秀でテストでよく100点を取っていた。
勉強しなくても満点が簡単に取れていた。
しかし、中学に入って変わってしまった。
後から聞いた話だが、私の中学はかなりのレベルの高さだったらしく、
そこで中の上くらいの成績しか取れなかった私は、
勉強の仕方がわからないまま「自分は勉強ができないんだ」と感じ始めた。
塾に通い始めて、周りが自分よりレベルが低いのを見ても、
「私はバカだからこんな塾しか通えないのかな」なんて考えていた。
高校は家から一番近い国公立へ入学した。
正直、レベルを落として受けただけに、親は本心では喜んでいなかった気がする。
つい最近も、「真由美はもっといい高校行けたのに」と愚痴を言われた。
そんなこんなで、初めての彼氏とのデートも命がけだった。
泊まりなんて怖くてできなかった。
でも、無事に一ヶ月目で初体験は終えられた。