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P.S.レンズ越しの後悔  作者: 収穫打文
一章 ACAアルバイト編
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第一話「アクセス」

 平和に暮らしたい、と思っているだけなのにどうしてこうも不幸になるのだろうか。

 平和に暮らしたい、と思っているだけなのにどうしてこうも命を易々と奪われなくちゃならないのか。



***



 その日は太陽が自己主張をするように暑い、7月中旬の昼であった。

 今は夏休みで何もすることがない。

 かといって遊びの誘いがあるわけでもないしな。正直暇をもて余しすぎている。

 バイトでもしてみようかな。


「お兄ちゃん、またゴロゴロしてんの?

 高校二年生なのに遊ぶ友達もいないとか、

 有香の兄はどうしてこうなんだか」


 うちの妹は呆れたようにそう言う。

 たしかにゴロゴロしているが、遊ぶ友達がいないとはなんだ。

 お兄ちゃんにだっているぞ、えーと•••。

 いなかった、さすがに悲しくなってくる。


「これからバイトを探そうと思っていたところだ   

 から。お兄ちゃん友達いないわけじゃないか

 ら」

 

 何故俺はこういつもいつも見栄を張ってしまうのか。

 有香にそう言ってもすぐバレるだろうに。


「ふーん、まあいいけど。でも友達作らないとそ 

 ろそろ本気でやばいかもよー」


 最後の最後でこんな強い置き土産をしてくるとは、恐ろしい妹だ。


 朝支度を終わらせ外に出てみたは良いものの、何も経験の無い俺がどうやって探せばいいのだろうか。

 やっぱり張り紙とかだろうか、書いてある電話番号に掛ければいいのか?

 商店街とかなら張り紙以外にもバイト募集してそうな所がありそうだな。

 そっちに行くか。


 気づけば時計の針は18時を指していた。

 周りの建物に黒い影が落ちている。

 俺はあろうことか五時間もバイト探しをしていたのだ。

 ツチノコ探しをしている人でも四時間が限界だろう、適当だが。

 夏は日が落ちるのが遅いから時間感覚がよく狂うのだ、だから気が付かなかった。

 自分の体内時計が心配になってくる。


 バイトの事だが電話で早速面接をしようと言ってくれる所があった。

 俺は心を踊らせ店にウキウキで向かったのだが結果はなんとびっくり、

 一目見られただけで不採用にされたのだ。

 何がいけないのだろうかなんて事は思わなかった。

 なぜなら俺が16歳(9月1日で17歳)にも関わらず

 髪は真っ白なのだから。

 染めてると思われたのだろう。

 がそうじゃない、これは地毛なのだ。


 この髪のせいで散々おじいちゃんだの激○ちくんだのとバカにされてきたのに社会に入っても軽蔑と差別の眼差しだらけだ。

 でも悲しくなんかはない、もうそんなのに感情を露にするほど子供でもないのだ。

 全部無視した。

 まあ友達は0なのだが。

 おいおい、誰か俺を癒してくれる人はいないのかね。


 もう今日は帰ろう、疲れた。

 俺は帰路に辿った。


「バイト、見つかんないかなぁ」

「兄ちゃん良いバイトがあるぜ」


 後ろから人を舐め腐ったような声が聞こえた。

 失礼だが本当に人を舐め腐ったような声なのだ、仕方がない。

 だが良いバイトとは聞き捨てならない。


「どんなのですか!」


 振り替えると小柄なおじさんが立っていた。

 なんというかずるそう、そんな印象を覚える。


「死ぬバイトだよ」

 

 男の手にはナイフが握ってあった、それにその刃先は俺の方に向いている。

 何かの冗談か?

 いや冗談じゃない、刃はしっかりと鋭さを見せつけている。

 俺に恐怖を与えるように。

 

「死ねぇ!」

「うがぁ!」


 ナイフが腹に刺さった。

 こんなに痛いのか、腹にナイフが刺さるっていうのは。

 傷口がとても熱い、それにこれは血?

 俺の血?


 なんだ、なんなんだよ。

 なんだって俺がこんな目に合わなきゃいけないんだ。

 いつも、いつもそうだ。

 俺はなにもしていないのに、毎回不幸になる。

 いじめを耐えたのに友達は0、

 今日も普通に家に帰ろうとしただけなのに死にそうな目にあっている。

 こんな人生を歩んでいる事実に後悔して•••。


「うきゃきゃきゃきゃきゃ」

「私の帰り道にこんな物を。こーゆーのを見るのは仕事だけでいいというのに」


 目を疑った。

 普通の人なら殺人事件が起きているところに飛び込もうなんて思わないだろう。

 だがこの委員長をやっていそうな黒髪ロングの彼女はあろうことか、呆れながら近づいてきたのだ。


「くっそ、ACAか。嫌なとこを見られたぜ」

「ACAを知っているということは貴様業結晶操者(アクセサリー)か」

「だったらなんだって言うんだ?」

「貴様が仕事の対象内になる、それだけだ」


 アクセサリー?ACA?なんなんだその単語は。

 いやもうなんでもいい。

 さっさと助けてくれ、こんな痛いのを我慢なんかできるわけがない。

 それにさっきから目眩がする、今にも意識が遠退きそうだ。


「んなっそこの君大丈夫か!」

「へへっ無理だよ、こいつはもう俺の業結晶(アクセス)で血

 を吸われてんだ。

 死ぬ寸前だよ」


 死ぬ?死ぬのか。

 まあこの人生、あまり楽しくはなかったし、

 さっさと死んであの世に行きたい。

 せめて童貞は卒業したかったなぁ、俺まだ彼女すらできたことないし。


「くっ、仕方ない、賭けだ。

 君、これを握れ!」


 彼女が俺に何かを投げ出した。

 それは宝箱の鍵のような小さい茶色の物体。


 それを、右手でキャッチした。

 これで何が変わると言うのだ、こんな状況でふ

ざけないでく•••。

 そろそろやばいな、もう意識が途切れそうだ。

 その瞬間だった。俺の右手はあり得ない程に光出したのだ。

 開いてみるとそれは、さっきまで茶色の見た目をしていたそれは、銀色の見た目をしていたのだ。

 さっきまで茶色だったような、見間違いか?


「それを体のどこでもいい、差せ!」

「はぁ!?」


 こんな重体だというのに思わずそんな声が出てしまう。

 そりゃそうだ。

 なにせ刺されているのに、また自分でも差さなきゃいけないんだから。

 そんなこと普通の人ならできっこない。


「いいから差せ!」

「わ、わかりましたよ」


 なんて怖い圧なんだ。

 差さなかったら一発腹にお仕置きされてしまいそうだ。

 まあそんなことをされたら本格的に死んでしまうだろうが。


「なにっ?そうはさせんぞ、その為に俺は来たのだから!」


 おじさんが何かを言っているが、そんなのお構い無しに俺は太ももに鍵を差す。


 太ももに差した鍵は空中に砕け散っていった。

 その砕けた破片がどんどん形を作っていって、

 最終的にはメカメカしい機械が足に装着されいったのだ。

 俺は夢でも見ているのか?

 それに目にもなんか着いている、

 これはレンズだろうか?

 だがなぜだろう、このレンズから力が全身に行き渡っている気がする。


「くっそぉぉぉぉぉ!失敗した、失敗した、失敗したぁぁぁぁぁぁぁぁ。

 貴様さえ死ねば良いのにぃぃぃぃいいい。

 死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


 失敗?

 なんでこの男は急に泣き始めたんだ?

 というかいつの間にか傷が治っている。

 今日は不思議な事が多い、わからないことだらけだ、でもやることはわかる。

 この男を倒すんだ。


 俺は向かってきた男のナイフを避ける。

 体が思う以上に動く、凄いな。

 その後もどんどん避けることができた。

 避ける度に男の顔に焦りが浮かぶのでなんだか悪いことをしてる気分になるが、

 殺そうとしてくるのだ、止めなくては。


「今度はこっちからだぜ、おじさん。食らえ、

 『一投足(アサルトレッグ)』」


 アサルトレッグ、それが俺のこの足の名前だ。

 決めたのわけではない、ましてや誰かに教えて貰ったわけでもない。

 最初からこの足がアサルトレッグだというように頭に入っていたのだ。

 

「ぐぁっ」


 俺の蹴りがもろに入ったおじさんの顔面は鼻から血を吹き出していた。


 それとアサルトレッグの他にも色々な情報があった。

 業結晶(アクセス)、この能力の総称である。

 業結鍵(アクセスキー)を体に差すことで発動、能力が使用可能になり身体が少し強化される。

 アクセスとは人類の潜在的にある本当の姿。

 それを解放して能力を扱える人がアクセサリーである。

 

 ここまで威力が出るのか。

 これが人類の可能性、進化の先。

 少し恐ろしいな。


「くっくそぉ、やりやがったな。

 やりやがったなぁ、こっちは手加減してやってたのによぉ!

 血液弾!」


 そう言った途端ナイフから赤い弾が飛び出してきた。


「もしかしてこれは、俺の血か?」

「ピンポーン、大正解。

 俺のアクセス、『吸血刃(ヴァンピール)』は血を吸い出して弾のように発射できるんだ。

 どうだ、怖気づいたか?

 今なら急激に血を吸って安楽死させてやることもしてやらんではないぞ?」

「いや、そんなものはしなくていい。

 俺がお前を倒すだけだからな!」

「お前っ俺の慈悲を無下にしやがってぇ」


 こいつは俺の腹を刺したんだ。

 さっきは驚きや悲しみで溢れていたが、今はそれが段々怒りに変わっていくのがわかる。

 こいつは俺がのすんだ。


 二人の駆け足は近づく、それが戦闘までのシグナルである。

 辺りは異様なまでに静かであった。

 次の瞬間空気が揺れ、その場に一つの音が鳴り響く。骨が砕けるような音。

 それは一人の青年の勝利が確定する物だった。

 

「や、やった。勝ったんだ」

「凄まじい戦いだったな。さっきまで一般人だったのが嘘みたいだ」

「えっと....あなたは誰なんですか?」

「あぁすまない。私は異変対策活動本部、通称ACAの日本隊第二支部副官、

 月ノ江羽海だ」

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