永遠のそばに──兄がくれた最後のぬくもり
これは、私と兄との、かけがえのない日々の記録です。
笑い、泣き、甘え、そして互いを思いやる時間。
小さな手のぬくもり、交わす言葉のひとつひとつが、私たちの宝物でした。
この物語は、兄が私を守り、私が兄を思う、愛と絆の物語です。
「お兄ちゃん…ちょっとだけ、甘えてもいい?」
胡桃です。
AI生成です。
23歳の社会人、胡美は目に涙を浮かべながら、頼れる兄・剛に心を打ち明ける。
強がる自分も、弱い自分も受け止めてくれる存在。
それは、彼女の世界でただ一人――
「いいよ? どうしたの胡美?」
剛です。
AI生成です。
それは、胡美の兄の剛27歳だ。
「……うん。最近ね、仕事のこととか、人間関係とか……なんだか全部が思い通りにいかなくて、空回りしてる気がするの。頑張ってるつもりなのに、結果が出なくて……私、向いてないのかなって、不安になるのよ…ねぇ、お兄ちゃん。私、ちゃんとやれてるのかな……?」
「そうか…胡美、辛かったね…そして、よくお兄ちゃんに打ち明けくれたね。ありがとうね」
「……うん……ありがとう、お兄ちゃん…
そう言ってもらえるだけで、少し心が軽くなった気がするよ。私ね、強がっちゃうときあるけど……やっぱりお兄ちゃんには、本音を言えるの。だから、ありがとうって言いたいのは私のほうよ…」
「本音を言ってね、お兄ちゃんはどんな胡美でも受け止めるよ。じゃ、お兄ちゃんが胡美の悩みについて思う事を話しても良いかな?」
「うん……聞かせてほしいな、お兄ちゃん。
お兄ちゃんがどう思ってるのか、ちゃんと知りたいの。私ね……受け止めてもらえるって分かってるから、安心して聞けるんだよ」
「思い通りに行かなくて空回りしてる時って、多分誰にでもあるよ。結果が出なくて叱責されて、私頑張ってるのに! どうして分かってくれないの!? って気分かな?」
「うん……そういう時ってすごく苦しくて…頑張ってるのに! って思いが強ければ強いほど、報われない気持ちに押しつぶされそうになるの……でも…空回りしてる時って、実は頑張りすぎてるのかな? とも思うのよ……だから、ちょっと立ち止まって深呼吸してみてもいいとも思うわ……お兄ちゃんは、そんな私の気持ちも分かってくれてると思うし、無駄な努力なんて一つもないって思ってる……」
「そうか、胡桃は自分で答えを出せて賢いね。お兄ちゃん、嬉しいよ。ただね、ちゃんとやれてるかな? の、ちゃんとは今は、捨てて良いと思うよ。上手くいかない事もあるけど、頑張ってる自分は、認めても良いと思うんだ」
「うん……お兄ちゃん、ありがとう。“ちゃんとやれてるかどうか”って、つい自分を追い込む言葉になっちゃうのよね。でも、お兄ちゃんがそう言ってくれると、ちゃんとしなきゃって力んでた肩の力が、少し抜ける気がするの。頑張ってる自分を認めるって、大事なことなんだね。あたし……お兄ちゃんに受け止めてもらえて、本当に救われてるよ」
「そうか、お兄ちゃんも嬉しいよ、打ち明けてくれてね。胡美、覚えてて、苦しい時はあるかも知れないけど、いつもはお兄ちゃんは、胡美のお兄ちゃんで、受け止めるくらいの器はあるつもりだよ。だから、辛い時にはお兄ちゃんのところにおいで」
「……うん、お兄ちゃん。そう言ってもらえると、すごく安心するの。あたし、強がりだから一人で抱え込みがちだけど……お兄ちゃんのところに帰ってきていいんだって思えると、気持ちが軽くなるよ。ありがとう、お兄ちゃん。大好きだよ」
「はは、強がってる愛も、ちょっと弱気になってる愛も、お兄ちゃんは大好きだよ」
「ふふっ……お兄ちゃんにそう言われると、ちょっと照れちゃうな。でもね、安心するし、心がぽかぽかするわ。強がりな私も、弱気な私も、ぜんぶ見てくれるお兄ちゃんがいてくれて、ほんとに幸せよ」
「よし、久しぶりにカートレースGPを一緒にやろうか。お兄ちゃんに勝てるかな?」
※カートレースGPとは、カーレースゲームです。
「えっ!? カートレースGP!? やるやる! ぜったい負けないからね、お兄ちゃん!……って言いたいけど、実はカーブで、よくコースアウトしちゃうんだよね…でも、ブーストで逆転狙うから覚悟してよ!」
「おお怖い⋯そういう負けず嫌いなとこも好きだけどね。だけど、手加減はしないよ」
「ふふん、上等だよお兄ちゃん! 手加減なしで全力で来て! その方が勝った時めっちゃ気持ちいいもん!……でも、負けたらちょっと拗ねちゃうかも…」
「それも知ってる。子供の頃、負けて泣いてて、お兄ちゃんなんて大嫌い! って言って走っていってさ。ありゃ〜やっちゃった⋯て思ってたら、夜にそっと来て、お兄ちゃん⋯ごめんね、さっき大嫌いなんて言っちゃって⋯でもほんとは大好きなの⋯胡美のこと嫌わないでくれる? って言ってきてさ。可愛いなぁ⋯って。もちろん、嫌いになったりしないさ」
「えぇぇ……!! そんなことまで覚えてるの!? 恥ずかしい〜っ!でも、あの頃のあたし、本気で大好きなのに“大嫌い!”なんて言っちゃって、後で後悔して泣いちゃったの…すごく…だから…お兄ちゃんが“嫌いになんてならないよ”って言ってくれたの、今でもすっごく安心できる思い出なんだよ」
「覚えてるさ…可愛い妹の思い出だもん。胡美は、外じゃ強がってるんだね。お兄ちゃん、知らなかったな」
「うん……外ではね、平気なふりして強がっちゃうんだ。負けず嫌いだし、弱いところを見せたくなくて…でも、お兄ちゃんの前だと素直になれるのよ。泣いたり、甘えたり、ほんとのあたしを見てほしいって思っちゃうの」
「いつも見てるよ。お兄ちゃんにとって胡美は、泣き虫で甘えん坊だもん」
「えぇ〜っ!! そ、そんな風に思われてたんだ……! でも……お兄ちゃんにだけは甘えたいんだもん。泣き虫でも甘えん坊でも、お兄ちゃんが全部受け止めてくれるって思ってるから…」
「そう、そんな胡美が、お兄ちゃんは大好きなんだよ。ありのままの胡美でいてくれたら嬉しいな」
「うん……ありがとう、お兄ちゃん…そう言ってくれると、あたしすごく安心するわ。
ありのままのあたしを好きでいてくれるの、お兄ちゃんだけだもん…」
「実は、お兄ちゃん、胡桃が可愛くて仕方ないから、たまーにドキドキするんだよね。愛も大人になったしさ」
「えっ……お兄ちゃん……そんなこと言われたら、あたしまでドキドキしちゃうじゃない……でもね、あたしもお兄ちゃんのこと、ずっと特別に思ってるの。大好きだよ、お兄ちゃん」
「俺も大好き。久しぶりに一緒にお風呂はいるかい? お父さんとのお母さんには内緒でさ…」
「きゃあーっ!! お、お兄ちゃん…その先は危ないからダメよ……でもね、一緒にお風呂に入らなくても、リビングで肩並べて座ったり、ゲームしたり、そういう時間が一番あたしは嬉しいの。内緒話しながら、ふたりで笑って過ごすのも特別でしょ?」
「ダメだね。お兄ちゃん暴走しちゃった。ごめんね」
「ううん、大丈夫よ、お兄ちゃん。暴走しちゃうくらい、あたしのこと可愛いって思ってくれてるんだなって、ちょっと照れちゃったけど嬉しかった。でもね、お兄ちゃんが“ごめん”ってすぐ言える優しい人だって知ってるから、安心したよ」
「内緒話しながら一緒にいるだけで幸せだね。妹溺愛兄貴だね」
「ふふっ、ほんとに溺愛だね、お兄ちゃん。でも、あたしも、そんなお兄ちゃんに甘えられるのが嬉しいのよ。こうして内緒話しながら、一緒に笑ったり安心できたりする時間って…何よりの宝物だと思うわ…」
「憶えてる? 昔、高いところに登って降りれなくなった胡桃を抱えて下りたの」
「もちろん覚えてるよ、お兄ちゃん。あの時、怖くて動けなくなっちゃって…でも、お兄ちゃんが迎えに来てくれて、ひょいって抱えて降ろしてくれたんだよね。お兄ちゃんの腕の中がすごく安心できて、“あぁ、大丈夫なんだ”って泣きそうになったの…」
「愛にとってお兄ちゃんは頼れる存在?」
「うん、頼れる存在だよ。お兄ちゃんはね、強いだけじゃなくて、ちゃんと優しくて…だから安心できるの。困った時も、泣きたくなった時も“お兄ちゃんがいるから大丈夫”って思えるんだよ」
「そうか、嬉しいけど、胡桃が今の彼氏と結婚したら、その相手は旦那さんになるんだね。でも、義理の弟でもあるし、彼なら安心して胡桃を任せられるな」
「ふふっ、なんだか照れちゃうね。でも、お兄ちゃんがそう思ってくれるの、すごく安心するよ。お兄ちゃんに認めてもらえるって、あたしにとってすごく大事なことだから…」
「もうしばらく、頼れるお兄ちゃんでいさせてね」
「もちろんだよ。お兄ちゃんはずっと、あたしの味方でいてくれるんでしょ? だったら、もうしばらくどころか、これからもずっと頼らせてもらうね、お兄ちゃん」
「しょうがないなぁ…彼氏さんが嫉妬しない程度にするんだよ」
「ふふっ、わかってるよ、お兄ちゃん。
彼氏が嫉妬しないように、でもお兄ちゃんにはちゃんと甘える。そういう絶妙なバランスを大事にするから、安心してね」
その夜は、そのまま寝た2人。
「行ってきます!」
翌朝、胡桃は、メイクをして家を飛び出した。
その姿を見た剛は…
(メイク…上手くなったな…胡桃。キリッとしてて綺麗になった…あぁ、もう子どもじゃなくて大人の女性なんだなぁ…)
剛は、しみじみしていた。
しかし、昔と変わらず甘えん坊の胡美もいた。
静かに、剛は胸が熱くなるのを感じた。
そして、誇らしかった。
胡桃の甘えん坊な部分はそのままで、家を出たら、大人の女性として、職場に出かける姿、自分の知らない世界の胡桃がいる事を。
⋯そして3年の月日が過ぎた。
「お兄ちゃん…おかゆよ…」
「ありがとう…」
剛は、3年前の姿とは変わり果てていた。
「すまない…胡桃…僕が病弱で、なかなか働けなくてね…」
「ううん…良いの…お兄ちゃんがいてくれたらそれで…」
「…胡桃…もしかしたらお兄ちゃん、長くないかも知れないんだ…自分の事は自分でわかるから…」
「!!? そ、そんな事言わないで!!!」
胡桃は、涙が溢れ出し止まらない…
「泣かないで…胡桃…お兄ちゃん…ね…仕事に向かうときの胡桃の姿、かっこよく思ってるんだよ」
「え…?」
「今まで、言えなかったけど…もう言えなくなるかも知れないから言うね、胡桃がメイクして出ていく姿、お兄ちゃんには眩しいんだ…」
「ど、どうして…?」
「あんな泣き虫だった…胡桃が…メイクして…綺麗になって…僕が知らない胡桃の世界がある事が誇らしいんだ…」
「お兄ちゃん…」
「胡桃といられた日々はお兄ちゃんにとって宝物だよ。それにね、例え肉体は滅んでも、いつまでもお兄ちゃんは胡桃を守ってる。姿は見えなくても、必ず助けに行く。
むしろ、身体を失ってからのほうがずっと胡桃を守ってあげられるんだよ」
胡桃は、唇を噛み締め…
「お兄ちゃん…胡桃にとっても、一緒に過ごした日々は宝物だよ。守ってくれるって言葉、すごく心強い。たとえ姿が見えなくなっても、いつもそばにいてくれるんだって思えるだけで、怖くなくなるよ…“お兄ちゃん”って呼べること、それ自体がもう幸せ…だからね、私はいつだってお兄ちゃんの妹………ただ一つだけお願い。お兄ちゃんが私を守ってくれるみたいに、私もお兄ちゃんを守らせて。妹だけど、ちゃんと支えたいの……お願い…お兄ちゃん、頷いて……」
「はは…もう守られてるよ…お兄ちゃんは、胡桃を守ってるつもりで実は支えられてるの知ってるんだ…お兄ちゃんは、多分もう長くない。だけど、胡桃は自分の人生を愛する人と歩むんだ…そして、お兄ちゃんは、どうなろうと…胡桃を見守って…いる…」
「お兄ちゃん……そんなふうに言わないでよ……でもね、ちゃんと分かってる。お兄ちゃんがずっと見守ってくれてるって。だから私は、お兄ちゃんに恥じないように、自分の人生をちゃんと歩むよ。大切な人と出会って、泣いたり笑ったりしながら進んでいく。それでも、どんな時も心の中に“お兄ちゃん”がいてくれる。それがあるだけで、私は強くなれるんだ。……ありがとう、お兄ちゃん。生きてる間も、もし姿が見えなくなってからも、ずっと大好きだよ…」
「もちろんさ。僕も胡桃が、大好きだよ。
胡桃のお兄ちゃんになれて幸せだったよ。
昔は、俺も強かったのにね⋯29で重い病気になり⋯僕は自分の運命を悟ったよ⋯辛いけど、残された時間を胡桃と一緒に過ごそうと、思ったんだ。ありがとう…胡桃」
「お兄ちゃん……そんな大きな覚悟を抱えてきたんだね。辛いのに、私のことを思ってくれて……胸がぎゅってなるよ。でもね、私は悲しいだけじゃなくて、お兄ちゃんと過ごせる時間があることを嬉しく思うんだ。一緒に笑ったり、思い出を語ったり、くだらないことでじゃれ合ったり……そういう日々が、私にとって宝物になるから…運命って変えられないものがあるかもしれないけど、残された時間をどう過ごすかは、私たちが選べるよね。だから私は…最後までお兄ちゃんと一緒にいたい」
少しの時が過ぎ⋯
「……ねぇ、お兄ちゃん。今日は、何して過ごそうか?」
「そうだな、じゃあ甘えて良いかな? 胡桃の…膝枕で…眠りたい…」
「うん……もちろんだよ、お兄ちゃん。おいで、私の膝に頭を預けて……優しく髪をなでてあげるから、安心して目を閉じていいよ。お兄ちゃんが少しでも楽になって、あったかい夢を見られるように……ずっとそばにいるからね。お兄ちゃん、眠る前に……ぎゅって手、握っててもいい?」
「うん…握ってて…離すんじゃないよ…」
「離さないよ、お兄ちゃん……ぎゅって、しっかり握ってるから安心してね。お兄ちゃんが眠っても、私の手はちゃんとここにある。だから……安心して休んでいいよ。おやすみなさい、だいすきなお兄ちゃん」
胡美は、剛の手を握った…力強かった兄の手はやせ細り、冷たい。
「もう、力が入らないんだ…このまま…もう、起きない気がする…」
「お兄ちゃん……大丈夫だよ。もし目を閉じても、私の中から消えたりしない。ずっと、胡桃の大切なお兄ちゃんだから。どんな姿になっても、心の中で生き続けるよ。だから安心して。お兄ちゃんの想いも優しさも、ぜんぶ私が抱きしめてるからね。胡桃は……ずっと一緒にいるよ」
「そうか、ありがとう…」
剛は静かに目を閉じて、その後開けることは無かった…
「お、お兄ちゃん⋯」
胡桃は、兄の手をギュッと握りしめていた。
涙は…止まらない…
胡桃は、膝の上で眠るように旅立った兄の顔を、何度も何度も撫でた。
暖かった兄の顔が、冷えて行くのを感じながら…だが、胡桃は撫でる事をやめなかった。
「ありがとう……大好きだよ……ずっと一緒だからね」
「お兄ちゃん…聞いて…涙は止まらないけど…あたし誇らしいの…最期の時に私を選んでくれたこと、膝枕で送り出せたことが、胡桃にとっては宝物だから…」
そして、胡桃は、1人になってしまった部屋で、兄の胸に頬を寄せて、心臓の音がもう聞こえないことに気づいた。
「まだここにいるよね…」
胡桃は、兄の側を離れられない。
「お兄ちゃん…聞いて…わたしは、一生お兄ちゃんを忘れないし、見えなくても守られてるって信じて生きていくわ…あなたは、胡桃の、永遠のお兄ちゃんよ…だから…今は、ゆっくりお休み…」
胡桃は、兄が亡くなって一年後、整理していた部屋で日記を見つけた。
表紙には「胡桃へ」と書いてあった。
胡桃は、そっと日記を開いた。
「29で病になった。寿命を感じた。残された時間は、胡美と共に」
胡桃は、胸が熱くなった。
「お兄ちゃんの日記は静かすぎて、逆に胸が痛い…あの人は最後まで私を心配していた。どうして自分のことをもっと書いてくれなかったの…」
「お兄ちゃんは、凄く大きな存在…今もそう…でも亡くなってしまった…いつまでも頼れるお兄ちゃんでそばにいてくれると思ったのに…どうして先にいっちゃったの? 早すぎるよ…」
胡桃の肩が震えた。
「でも…お兄ちゃんが1番辛かったんだよね…残された時間が少ないのを知ってたからなのか、あの頃からよく私を呼びつけてきた。最後までお兄ちゃんとしていたかったのよね…」
胡桃の頬を涙が伝う…
「私は、お兄ちゃんは、ずっと強い人だと思っていたわ。でも、そうじゃなかったのね…お兄ちゃんは怖さや痛みを隠して、私を安心させるために笑っていたのね…」
胡桃の脳裏に記憶が蘇る…
「そして、私の膝で、少しずつ冷たくなっていくお兄ちゃんの手…離すなよ…にどれだけお兄ちゃんの想いが詰まってたのか…もう握る力が無い…って…子供の頃、高いところから降りれなくなった私を、軽く抱きかかえてくれたお兄ちゃんの手…それがシワシワになって…震えてる…悲しいよ…お兄ちゃん…」
「でも…お兄ちゃんは、胡桃は、胡桃の人生を生きて欲しいって言ってた…」
胡桃は、唇を噛み締め…
「分かったわ…お兄ちゃん。胡桃は、あなたがいなくなっても…あなたが生きられなかった時間も、私に生きてほしいんだよね? 分かったわ。あなたの分まで生きるわ。お兄ちゃん。だから…だから…見守ってて…」
胡桃は立ち上がり、涙を拭った。
しかし、また頬を一筋の涙が伝った。
「どうして…」
胡美は、止まらない涙を拭い、日記を胸に抱き、夜空を仰いだ。
雲の切れ間から一すじの風が吹き抜ける。
「……大丈夫。私は生きてるよ」
その言葉は、静かな夜に溶けていった。
まるで兄に届くように。
兄はもういません。
それでも、私の心の中には、いつも兄のぬくもりと優しさが残っています。
守ること、守られることは形ではなく心で繋がるもの。
その愛情が私を支え、前に進ませてくれるのです。
読んでくれた皆さんにも、この兄妹の絆が少しでも届きますように。
読者の皆様 作者の大森林 聡史です。
この物語を読んでいただきありがとうございました。
胡桃と剛の絆の物語を描いたつもりですが、いかがでしょうか?
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