文月(天恋)
チグノに公園で見つかった。
その後、チグノからアイドルを目指している理由を聞いた。チグノと、ひととき会話してリョウスケは喜んだ。
しかしチグノと別れてからリョウスケは歩道で倒れた。
眼球が一瞬にして光を吸い込んだ。
眩しく刺激されたは眼球がまばたきを速く繰り返させる。
「気がついたようですね」
看護師の女性が笑顔で対応してくれた。
その笑顔も妙に眩しい。
ゆっくり脳内が動き出す。
1度止まりかけた時計が、動き出した。
「昨日からずっと眠って心配しましたよ」
看護師が優しく顔を拭いてくれた。
ぼくは急激な暑さで駅前で倒れたのだ。
そこから意識がなくなった。
「誰が連絡してくれたのですか?」
「作業着姿で髪を結んだ男性らしいわよ」
「助けてくれた方は?」
「現場で別れ、それ以上は分からない」
「一言お礼が言いたかった」
「もう少し遅かったら大変なことになってたわよ」
「‥‥‥そうですか命拾いしたんだ」
「リョウスケ良かった」
「母ちゃんも来てたの」
母ちゃんは頷くだけだ。
「ずっと昨日からここで見守ってたのよ。お母さんに感謝 しなさい」
看護師が血圧を測ってくれた。
母ちゃんは心配症だ。
「じゃあ1度入院の準備で帰ってくるね」
「もう来なくていいよ」
こんにゃくを背中に入れられた冷ややかな態度のぼくだ。
「そんなことお母さんに言ったらだめよ」
「じゃあね」
冷めたこんにゃくをおでんに入れた態度で接してきた。
「チグノって彼女さんの名前? ずっと枕元でつぶやいてたわ よ」
母ちゃんの姿が消えると、興味丸出しで看護師が聞いてき た。
えっ!、ぼくがチグノの名前を‥‥‥
そんな夢を見た記憶などない。
なのにチグノの名前を‥‥‥
「チグノってアプリーノのメンバーです」
ぼくは否定も肯定もしない。
「あー、あの地下アイドルの」
「アプリーノ知ってるんですか?」
「妹の娘がメンバーなの。チグノって言うのよ」
ぼくの鼓動が数倍の速さで動く。
息がくっ苦しっーーい。
‥‥‥こんなことがあるのか。
チグノの叔母?、まっ、まさか!
「もしかしてチグノの彼氏?」
「ゴホッーー、ゴホッーー」
「大丈夫?、顔色悪いけど」
彼氏だなんてーーうんと言おうかなぁ。
「チグノに彼氏いるわけなぃかぁ」
すぐ否定するんかぁーーい!
「あんなことばっかしてるから」
「あんなこと?」
看護師は、なんだかためらってる。
そんなに、ためらう出来事なのか?。
「彼氏さんじゃないから言うけどね。チグノはチーフマネジ ャーと枕営業してメンバー入したの。わたしそれが許せな いのよ」
そんなの、うっ、うそだっ!!
チグノに限って絶対ない。
チグノは日夜アイドルになるため努力してる。
チグノがそんなことするわけない‥‥‥って、信じたいーー
「ゴメン。もしかしてアプリーノのファン?」
申し訳なさそうに看護師が顔をのぞきこむ。
もう遅いわぃーー!
言ってやりかたったが、風船が萎む勢いで元気も萎んだ。
「少し血圧が高いわねぇ」
血圧上げたのは、あんただって言ってやりたい。
でも言 えなかった。
純粋に夢を語っていたチグノがドミノのように、崩れてい く。
瞳は輝き全身で夢をアピールしてたあの時のチグノだ。
一瞬で粉々に輝くチグノが跡形もなく粉砕された。
ガラスで作られたチグノだったのか。
生きる意欲が薄れてしまう。
いまさら生きる意欲など‥‥‥いらないのかもしれない。
やっぱりぼくの人生って、この程度の運命だ。
7月に入り、もうすぐ七夕だ。
1年に1度会えるおり姫とひこ星のようにはいかない。
ぼくの胸には海に匹敵する天の川だ。
チグノの姿さへ全く見えない。
やっぱ!好きだったのだーーチグノのこと。
いまは、心臓をぎゅっと強く握られたようで呼吸気管が狭 くなる。
光を浴びた眼球から水滴が垂れそうだ。
でも、ぼくは水滴をこぼさない。
こぼすと‥‥‥また会いたい気持ちがぼく自身を覆ってしま う。
こぼす水滴が公園で過ごした、あの煌めく時間まで流して しまう。
でもーー
もう‥‥‥やっぱあきらめよう‥‥‥チグノを!
ぼくには幸せの鐘は鳴らない。
いつも水滴に流されさらわれてしまう。
今回も閲覧してくださりありがとうございます。
皆さまも、あきらめよ思ったこと多々ありますよね。
それが、もし好きならことや好きなら人なら、めっちゃ辛いですよね。
リョウスケも今、チグノをあきらめようとしています。またリョウスケの寿命も徐々にカウントダウンに近づいています。
今後リョウスケは、残された期間どう変わっていくのでしょうか!




