水無月(雨恋)
リョウスケは偶然にチグノを公園で見かけた。
チグノは公園の片隅でダンスの練習してる姿を目撃す
る。
そんな時、リョウスケは犬に吠えられた。
慌てたリョウスケはチグノに見つかってしまう。
しかしチグノは笑顔で話しかけてきた。
しばらく話しをするが、チグノがリョウスケの背中に 寄りそってきた。
チグノが崩れた。
一瞬ドキッとした。
心臓がバクバクして飛び出すかとーー。
けどそんな気分すぐに吹っ飛んだ。
「ゴメンなさい。ちょっと立ちくらみしちゃって」
「大丈夫?」
「もともと貧血気味なの」
「じゃあー、あのライヴの時も‥‥‥」
チグノは、うなずくだけだ。
ぼくはどうしたらいいのだろうか?
「がんばり過ぎじゃない」
ごく一般的な言葉しか思いつかない。
「ベンチに腰掛けたら大丈夫よ」
自販機前のベンチでチグノは腰掛けた。
「いつも気圧を入れると、こうなるの」
チグノのため息は大きくて深い。
チグノが悩んで生きてる証拠だ。
ぼくはそんな悩みがいつからか消えた。
ぼくは人生を制御して諦めたからだ。
『チグノ!』どうして‥‥‥そんなに‥‥‥?。
チグノから生々しい呼吸音。
ぼくの胸に何度も突き刺ささる。
ぼくは全て、期待しない生きかたを選んだ。
なのに‥‥‥刺さった場所がムズムズしてくる。
ーーいまさら戸惑ってしまう。
ぼくはA Iのように生きると決めた。
感情を捨てる。すると楽だ!。
だから心底楽しいと思ったことなどない。
いつからこんなレールを引いてしまったんだろう。
もう死ぬと分かっているからか?。
だったらーー、この心の重荷をとれリョウスケ!。
ぼくは何度も奮い立たせた。
けど重たく、さびたぼくは、そこからうごけない。
ぼくの残された人生。
これから虚しさだけが残るだろう。
やらなかった虚しさの涙を流して死ぬんだ。
なんだか前向きに生きてるチグノを見て情けない。
「りょっぴーさん泣いてるの?」
チグノが心配そうにのぞきこんだ。
「こんなにファンに心配されて幸せだなぁーー」
チグノは呼吸を整え笑う。
「ほんとアイドル目指すようになってから、前向きに生きられる」
そんなことない。チグノはぼくに比べて‥‥‥」
「わたし小さい時、パパに虐待されたの‥‥‥
それでママ とずっと、シェルター型の施設で生活し てたの‥‥‥今も」
衝撃だ!。
あんな明るいチグノの違う一面だ!!
「だからわたし、いつも怯えて生きてた」
「いまも怯えてるの?」
「うん。でもそれに負けない。絶対アイドルになる
の」
チグノは偉い。
怯えに負てない。
あえて目立つ仕事で奮起しようとしてる。
そのてんぼくは‥‥‥
「今でも、弱気が出ると怯えが顔を出すのよ」
「だったらもっと目立つとパパに見つかるよ。
しかもトラウマになるんじゃない?」
「分ってる。でも1流のアーティストになりたい」
チグノは、すごい熱量だ。
「紫陽花が咲いてる。もうこんな時期ーー!。
すぐ夏も、きちゃうーー。がんばらなくちゃーー」
「チグノさん雨降ってきたよ」
「ほんとだ」
「紫陽花に雨は良く似合うわねぇ」
チグノが上空を見上げだ顔にドキッとした。
チグノを守ってあげたいーー!
ぼくは足元を引きずるように、濡れた路面を歩く。
『チグノが好きだ! でも‥‥‥。』
無くしたパズルのピースを見つけようだ。
残された余命をチグノと歩く決心をした。
でもチグノとぼくには雲泥の差がありすぎる。
弱気なぼくが時折り全身を覆う。
降り出した雨は徐々に強くなる。
ぼくは全身ずぶ濡れだ。
雨がこれでもかと強く体に打ち付けてくる。
なんだか足が重い‥‥‥そして体も重い。
体に鈍りをつけられているようだ。
『チグノーー!!』
心で何度も叫ぶ。
なんだか、もう歩けない‥‥‥。
チ、チグノ‥‥‥。
こんなんじゃチグノを守れない。
リョウスケしっかりしろ!!
ぼくはその場で倒れた。
ごめん、チグノ‥‥‥。
顔がぐじゃぐじゃだ!。
雨なのか、涙なのかわからない。
ただもう抵抗する余力もない。
ごめん、チグノーー!。
これが精一杯だ。
ぼくは無意識に倒れながら声をしぼりだした。
今週も閲覧してくださりありがとうございます。
今回は毎月のテーマにして話しを練っています。
しかし思うように、その月に沿った話題を入れるのは やっぱむずいです。
これだけあまり月日を気にせずに、生活してるのが分 かります。
これからもっと季節感を通して、リョウスケとチグノ の関係性が蜜になるよう書きたいと思います!




