水無月(芽恋)
アプリーレのライヴに行くようになったリョウスケ。
そこで自分が少しずつ変化していく。
以前は友達と行っていたが、今は1人で行く。
そのライヴ中に前列のリョウスケに、ステージ上のチグノ が倒れてきた。
ぼくらの生きる時代は情報ばっかだ。
だから忘れるスピードばかり進化した。
1週間前のことすらもうぼやけてる。
チグノがステージから落ちた。
それだけは覚えている。
けどあとはぐちゃぐちゃだ。
ぼくは衝撃で倒れそうになった。
だけど必死に耐えた。
チグノが倒れないように守った。
その時には周囲の悲鳴が聞こえたらしい。
ぼくの耳には入ってこなかった。
鮮明に覚えてるいるのは、チグノの汗だ。
倒れたときぼくの首すじに何度も落ちた。
その生温い感触だけは時が過ぎても覚えてる。
今も渇いた首すじをぼくは何度もさわる。
「ヨシノリョウスケさん」
ぼくは立ち上がり診察室に入った。
「もう多分大丈夫ですよ」
ぼくとチグノの小さな繋がりが消えそうだ。
全治2週間のあの出来事も過ぎて行こうとした。
右肩を上げた。まだ少し痛い。
まだ、この痛みが続いてほしい••••••
フォローしてるチグノのTikTokを見た。
何だかチグノは元気がない。
ぼくは『元気だよー』だと送った。
チグノはすぐに反応した。
「またライヴで待ってるねぇーー」
すぐにぼくだと分かったみたいだ。
毎日平凡に過ぎていくだけだと思っていた。
でも実は輝く原石が日々沢山散らばっていたのだ。
ただ気付かないだけだ。
『死にたくない!』
今、手のひらにのる小さな幸せがあるからだ。
心おどる。スキップして帰りたい気分だ。
最近息切れが多くなった。
少し公園ベンチで休んだ。
ぼくは近くの自販機に行った。
その時だ!
少し木々がしげる場所でチグノを見つけた。
心おどる状況はさらに加速した。
声も出ない。
何度も息を飲み込んだ。
ぼくは葉っぱの茂みからただ見つめた。
チグノは、こんな公園の片隅で振り付けの練習をし
ていたのだ。
それも地味なステップを何度もだ。
明らかにライヴ会場やTikTokとは違う表情だ。
思いきって声をかけよと••••••
しかし近づけば近づくほど、目の前に光る刃先がある。
そんな錯覚で身動きができない。
『どうしたーー リョウスケーー!!
あんなに会いたかったはずだ••••••』
何度も心の声がする。
けど、刃先の突かれた痛さが、おじげづいて一歩を踏みだ せない。
『このままじゃだめだーー』
こんなことめったにないチャンスだ。
最後にワクワク感が背中をおした。
その時だった!!
今回も閲覧ありがとうございます。
人って、どんな場所で縁ができるかわかりません。
もしその縁が、どんな変化に変わるか楽しみながら生きる と人生変わるかも知れません。




