皐月(揺恋)
タイシに連れて、初めてのアプリーレのライヴに行ってリ ョウスケは興奮した。
ライヴを経験したリョウスケは全身、今まで味わったこと のない衝撃を受けた。
絶望や挫折は常に肩を組んでぼくの前を歩いている。
ほんの少し奴らが力を入れると膝から呆気なくぼくは崩れ る。
そして立ち直れないダメージを受けるガラスの心だ。
妙に明るくふるまればふるまるほど、絶滅が肩を叩き死に たくなる。
ぼくは常に死と背中合わせの生活を過ごしている。
自ら死にたいなどと言えば、頑張って生きてる人には、贅 沢な悩みだ。
そんな時はアプリーレのライヴに行くことで、現実逃避す る。
「みんなも一緒に歌うよ!」
リーダーのチグノが観客にマイクを向ける。
一斉に飢えた鯉が餌をもらう群がる風景だ。
ライヴ会場でアプリーレのバブル-ドリームを熱唱する。
『シャボン玉のように上空へ幸せや希望が飛んでいる。
けどすぐに儚く消えてしまう。
でもまた飛んで来る。
わたしは何度も転んで痛い思いをしてもつかむことをやめ ない。
だって前に進まなきゃつかめない』
ぼくの1番好きなフレーズ『前に進まなきゃつかめない』を 熱唱してる。
動くたびアプリーレからみなぎる光線が眩しい。
照明に煌めく色彩が踊っている。
高低音響が体を突き抜けそうな異空間を幻想にさせた。
その空間は熱狂的ファンが背中を押しワールド化してる。
ぼくも負けじとアプリーレの世界に飛び込む。
会場はムーブメントの波に乗り熱狂の太陽が照りつける。
これからもアプリーレのライヴに行くのだと全細胞が踊り 出す。
ライヴが終わる。
今日は体をくすぐられる。
ぼくの中に眠る生きがいの種が発芽したのだ。
発芽した芽をぼくは週2ライヴで育てる。
力の限りアプリーレの花を咲かすことにした。
こんな地下でも地上に負けないパワーで会場は、いつも真 夏日だ。
決して地上にはない上昇気流だ。
ぼくは自ら望んで足を運ぶ。
こんな情熱が本当の自分?
けど家に帰ると体力の限界で、現実が待ってる。
それでも充実感が疲れた体に心地良い。
おまけにタイシには内緒で最近ワンオペで通っている。
優越感がスパイスされ味変までしてくれた。
アプリーレは、リーダーのチグノ、アサミ、ミラ、レオの 4人女性ユニットだ。
ぼくと同世代の20才だ。
同じ時代に息を吸う。
でもぼくはアプリーレに比べ意味のない人間に映る。
そんな時こそアプリーレのライヴに行くのだ。
餌をもらう鯉のように群がって
自分から脱皮して忘れる。
ぼくは週末のライヴチケットまで購入してる。
週末は朝から雨が夕方も降り続いた。
ぼくはインスリンを打って体調を整えた。
タイシには内緒のライヴ。
背徳感とワクワク感がシーソーしてる。
何だか定番のペンライトだけじゃ物足りない。
でもまだ、はじける勇気は恥ずかしさに押し込まれアピー ルできない。
ほんとは、そんなグッズを持ってアプリーレを推したい。
対面から冷めたぼく。
何だかに監視された視線に怯えている。
ぼくは時々ジレンマの迷路で彷徨ってる。
会場は週末なのでスタート前から熱気風で熱い。
ぼくはラッキーなことに1番前の席だった。
その熱気風はスタート音楽で更にパワーアップに吹いた。
荒れ狂う熱気風はMAXを迎えると熱狂波まで連れてきた。
自然とテンション爆上がりだ。
ぼくも熱狂波に飛び込んだ。
とても気持ちいい。
ライヴ終盤の波は最大のMAXだ。
ファンが一気にバーゲンセールごとく押合いで、熱狂波の 大波だ。
ぼくはステージ前までも押された。
そんなときチグノがマイクスタンドの足に引っかかった。
勢いよく倒れたチグノをぼくが支えた。
今回も閲覧ありがとうございます。
誰もが様々偶然な出会いがあります。
その出会いには種があります。
その種がいつ、どこで発芽するか分かりません。
自分の中でしっかりと育てていきたいですね。




