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師走(最愛)

アプリーレライヴの帰り道。リョウスケはゴミ収集車に乗ってゴミを集めるチグノを見かけた。

最初は目を疑ったリョウスケ。

でもチグノだった。

リョウスケは何故だか思わずチグノにキスをした。

チグノは抵抗しなかった。

 「うっー」

 

 ぼくはベッドから転げ落ちた。   

 床の冷たさで目が覚めた。


 「リョウスケ大丈夫?」


 母ちゃんが慌てて部屋に入ってきた。


 「大丈夫。寝ぞうが悪いだけだよ」


 そう言いながら笑って見せたが、笑う余力もなくなってい た。


 「あんたはちょっとしたケガでも命取りになるのよ」


 糖尿病がぼくの体を蝕み、徐々に衰弱していくばかりだ。


 今は、ちょっとした怪我でウイルスが身体に容赦なく襲い かかる。


 もうそんな無防備な状態の体だ。

 ぼくはベッドにもたれた。


 呼吸をするのも何だか重い。

 絶望交じりのため息しかでてこない。


 今のぼくの希望は枕元にあるチグノのスマホだけだ。


 チグノから忘れたスマホにかかってくると思っていた。


 ‥‥‥けど画面が光ることはなかった。

 あの時、1度だけ鳴っただけだ。


 ぼくは、うる覚えのパッカー車の清掃会社を探すことにし た。

 持ってると辛くなるからだ。


 検索がヒットした。

 ぼくの家から1つ前の駅の近くだ。


 ぼくはチグノのスマホを届けに行くことにした。


 「これ、女性の清掃員さんが置き忘れてましたよ」

 中年女性の事務員が顔だけ向けてきた。


  「あなたは、マンションの住民さんですか?」

  「違います。ゴミ収穫場を通行中に落としたのを見掛けた だけです」


 「今日は来ないです。でも預かって置きます」

  「スマホがないと不便じゃないですかね‥‥‥」

  「さぁーーどうでしょう」


 淡々と喋る事務員は感情一つ変えない。


 AIなのかと間違えそうだ。


  「どうした?」


 奥の部屋から野太い声と同時に作業着姿の中年男性が出て きた。

 

 男性は頭を下げてきた。


  「社長、バイトの子がスマホ落としたみたいで届けてくれ ました?」


  「それはご親切にありがとうございます」


 ぼくの近くに来た中年男性は型体が良く威圧感がある。


  「ちなみにお名前は?」

  「ヨシノ。ヨシノリョウスケっていいます」


  「ヨシノ‥‥‥リョウスケ?」


 男性の眉が微妙に動いた。


  「ぼくの名前知ってるんですか?」

  「いやぁー」


 男性が慌てた。


  「それでは彼女が来たら渡しときます」


 冷めた事務員の声で周囲は冷え込んだ。


 街はすっかり枯れていた。

 それ以上に、この空気感は枯れていた。


 ぼくは本来なら直接チグノに渡したかった。


 けど清掃服姿のチグノは、ぼくの推すチグノじゃない。


  チグノは華やかでキラキラが似合うアイドルだ。


 早くアプリーノのチグノが見たい。


 でも見れるか不安だ。

 最近、ぼくの体は重い。


 手足も冷たく腎臓も悪化してる。

 命が先か透析が先かの状況だ。


 「リョウスケくん?」


 リョウスケくん?

 ぼくは振り返った。


 チグノが立っていた。


 「チグノちゃん!」

 「今日ライヴの日じゃないの、どうしてここに?」


 「ライヴ出れなくなっちゃった」

 「出れない? どうして」


 「事務所から謹慎処分が出たの」

 「謹慎?」


 チグノの口から出るフレーズは、ぼくには理解できない。

 

 「‥‥‥アイドルも無理かも」


 今まで強気だったチグノの声が、泣きそうに震えていた。


 こんな弱気なチグノを見たことない。


 「どうしたの‥‥‥?」

 

 チグノの顔が急に崩れた。

 その後、ぼくの胸に飛びこんで泣き出した。


 ぼくはチグノの体重を支えるほど体力がない。


 でも両足の足裏に力を入れて踏ん張った。

今回も閲覧ありがとうございます。

季節も秋めいてきました。

リョウスケとチグノは少し早い季節を歩んでます。

今後の2人の展開はどうすべきか考案中です!

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