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葉月(雷恋)

コトミが通り魔に刺され亡くなった。

そんな時コトミからアプリーレライヴチケットをプレゼントされた。

その前にも入院先の看護師からアプリーレライヴチケットをもらった。

リョウスケの胸中は複雑だった。

「ほんとにライヴチケットいいのか?」

「うん。いいよ」


「まさか、アプリーレライヴ行けるとは思わなかったよ」


 タイシからこぼれる白い歯がまぶしい。


 「なんでリョウスケ行かないんだよ」


 リョウスケの笑顔がぼくの脳裏に突き刺さった。

 

 ほんとはライブで騒ぎたいよーー

 そんな本音言えねぇーー


 「ちょっと都合が悪くなったんだ」


 カッコつけてちょっと大人ぶった。

 

 看護師から行かない方がいいと電話をもらった。


 勝手にくれて、今度は行くなって人をバカにしてる。


 おれはムカッと食ってかかった。

 看護師はそれ以上理由を言わない。


 興奮したぼくはそのまま通話を切った。

 でもその勢いは昨日までだった。


 「リョウスケ、サンキュー」


 結局タイシに譲った。

 ぼくは何度も行こうと思った。


 いざ行こうと‥‥‥

 告ったわけでもない。


 ぼくは臆病者だ。

 チグノを見ると何も言えない。


 ぶつかって物事を壊せない。

 なにかあるたびに病気のせいにして逃げてばかり。


 あの看護師はぼくの本心を知ってるのかも。


 ぼくとタイシは真反対の人間だ。


 タイシは県内有数の進学校を辞めて、通信制に転入して  きた。


 型体もがっしりで正義感も強い、元ラガーマンらしい。


 今もバイトしながら大学にまで通っている。


 「リョウスケ、めし食いに行こうぜ。おごるぜ」


「キモイな、タイシが誘ってくるの。虫の知らせか!」

 

 「そうそう」


 タイシは上機嫌だ。


 車のドアを開けるとムッとした、なんだか妙な空気が肌に かみついてきた。


 ぼくはこれも夏の風物詩と思いこんだ。


 よし食うぞっと気合い入れた。

 久しぶりの焼肉だ。

 しかも90分食べ放題!


 タイシは食いっぷりがいい。

 気合いのわりに、なんだかぼくは食がほそい。


 「リョウスケ臓器提供どうした?」

 「明日定期健診で聞く予定にしてる」


 「おまえ、すごいなぁ」

 「すごい、なにが?」


 「リョウスケって、ためらうことなく臓器提供決心したよ なぁ。おれはためらっている」


「タイシがほめるの珍しなぁ。普段ほめないのに不吉な予感 がするわ」


「おれは、いつもほめてるよ。それより90分しかないから時 間もったいないぞ」


 タイシの箸がふたたび動き出した。


 総合病院の待合室には多種多様の患者だ。


 元気なら来なくていい場所だか、ぼくは14から来てる。


 もう目をつむっても院内どこにも行ける。


 「リョウスケさん、特に容態は変わらないよ。その調子を 維持するんだよ」


 主治医はいつも優しい。


 「先生、ぼく臓器提供できますか?」

 「臓器提供?」


 想像もしないワードに主治医が目を白黒させた。


 ぼくは簡単に経緯を説明した。


 主治医は大きく笑顔でうなずいき、涙目になっていた。


 「明後日検査しよう」


 病院の定期検診は半日かかる。

 帰りに入院棟に寄った。


 看護師に会って理由を聞きたいからだ。


 今日はアプリーレのライヴ日。

 タイシの張り切る姿が目に浮かぶ。


 「あの、看護師のフナダさんはおられますか?」


 3階のナースステーションで聞いてみた。


 「今日は有休とってお休みですよ」


 タイミングわるー! もしかしてライヴに?


 まだ思い出すとモヤモヤ感でむね焼けしてる。


 今日は、やけに眠く、帰って一眠りしたい。


 帰る途中、雲行きがあやしい。

 遠くで雷鳴音が鳴り始めた。

 おまけに夕立が、きそうなぁ匂いまでする。


 ぼくは足早に自宅に帰り、そのままベッドに倒れこんだ。


 ぼくのまぶたは自然と閉じた。


 「リョウスケ起きて!」


 かあちゃんが2階の部屋まで上がってきた。


 ぼくはすっかり3時間も寝落ちしたようだ。


 もう7時かぁ。


 昼過ぎの雷鳴音が、ぼくの自宅近くで鳴っていた。


 雨も降り出し雨音が強く壁に当たっている。


 かあちゃんが無言でテレビをつけた。


 「えっ! う、うそだろうーー」


 アプリーレの会場で爆発が起きた。


 会場から中継がつながっている。

 一部分から黒煙が立ち上っていた。


 タイシが死亡名のテロップで表示された。


「な、なんで‥‥‥タイシが死ぬの」



今回も閲覧してくださりありがとうございます。

ストーリーも少しずつ謎がでてきました。

今後どのようになるか予想しながら読んで下さいね。

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