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帝と平凡な恋  作者: 沢本 桃吏
第四章
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帝と平凡な恋 第五十八話 嫉妬する帝 (番外編)

第五十七話です!

「橙さま。嫉妬って知ってます?」


龍布がいきなりそんなことを尋ねてきた。


「嫉妬?なんだそれ?」


「嫉妬という言葉すら知りませんでしたか…」


「いや、嫉妬って言葉は知っている。だけど、俺がいつ誰に嫉妬するんだよ?」


それはごもっとも。


妃は皆、皇帝のもの。

誰に取られるとかそういうものがない。



「例えば、沙々を取られるとか」


「はぁ?誰に取られるんだよ?」


「例えばの話ですよ」

橙はそんなことあるわけない、と鷹を括りつつその後、龍布をスルーしたのだった。




「なんで、皇帝が沙々を取られないといけないんだ」

実際、そんなことを考えたことがなかったので考えてみると取られたら取り返せる自信がない。



「そうなったらどうしようか…」

なんて、なるはずもないので考えない。


「取られない、取られない」

余裕綽々な橙はこの後起こる悲劇を考えることもなかった。




橙が龍布を探しに自分の宮の中を歩いていた時、コソコソと話す男女の声が聞こえてきた。


「あの、こんな事良くないと思うんですけど…」


「だから、話を聞いてほしいんだ」



明らかに密会のような会話だと分かった。

廊下の角から様子を確認すると、橙は目を剥く。



そこには沙々と龍布がいた。

しかも、すごい近距離で見つめ合っている二人が。


「な、な、なんで…」


かすれ声で呟いた橙。

まさか、龍布があんなことを聞いてきたのは挑発!?


そんな事を考えつつ橙はおぼつかない足取りで自分の部屋に戻った。




「うぅ…」

でも、よく考えてみれば橙のことを好きな沙々が浮気するだろうか。

いや、浮気というものは相手がこちらのことを好きだと思っていた時とかにも起こりうることか。



「案外、自分って自信がないんだな」



自信たっぷりならば、心配になることはないだろう。

情けないが、今の自分は沙々と不釣り合いではないかと思う時がある。

なんて、他の人に言ったら沙々の方が橙に釣り合ってないなどと言われそうなので言わないが。


念のため、本当に沙々と龍布だった確認することにした。

人違いだと良いと願いつつもう一度、同じ場所に行ってみる。

すると、次も男と女の声が聞こえてきた。


一人は沙々のもので間違いない。


なら、もう一人は?



バレないように覗いてみるとまた橙は顔を青くさせる。

俊朗がなぜかここにいた。

軍部の方で働かせていたはずだが、なぜか橙の宮にいる。

だが、今はそこではない。

もう一人の人物の方が問題である。


「沙々、俺お前のことが…」


「いや、えっと…」

顔を赤らめ合う二人を見て橙はいたたまれない気持ちになり、頭を冷やすためにも後宮に行くことにした。




「キャー、橙さま!」


「橙さま。お久しぶりです〜」


妃たちの黄色い声が妙に落ち着く。

なんやかんやで橙も男である。


「あぁ。久しぶり」



微笑みながら妃たちの間を通過していく。


まさか、沙々は俺のことを嫌いになったんだろうか。

考えたくないことだが、そうだろう。

となると、今後はどうしよう…。



「橙さま」

護衛が声をかける。

不安が顔に出ているということだろう。



橙は無理に笑う気にもなれなかったので真顔でいることにした。





「はぁ。面倒だった」

沙々はあくびを噛み殺す。


「龍布さまには橙さまのことを相談されて、俊朗さまにはなぜか冗談を言ってくれる」


沙々は先ほどのことを思い出した。


「橙さまの愚痴を聞いてほしいんです。例えば、橙さまが子供すぎるとか。全くもってこちらの苦労を分かっていないとか」


「あの、こんな事よくないと思うんですけど」

皇帝の愚痴を言うなんて。


「だから、話を聞いてほしいんだ」



「ですから、聞かれて困るのはそちらですので」


「それはそうですけど…」


みたいな感じの会話で、俊朗に関しては。



「お、沙々さん!」

龍布が去って行ったと思えばなぜか俊朗がやって来て、いきなり「沙々、俺お前のことが…」


「いや、えっと…」

恥ずかしがっている言うより戸惑っている沙々に俊朗はこう耳打ちした。



「龍布が橙に嫉妬っていうものを味わせたいみたいだから、沙々さんにも協力してほしいんだって」



と言って来たのだった。

正直、馬鹿馬鹿しくて相手が俊朗たちでなかったら付き合いもしなかっただろうが、半ば強制的に参加させられていたので協力した。



それで、橙が嫉妬を味わっているか見て来てほしいなんて…面倒なことこの上ない。




「橙さま」


橙の部屋の扉をノックして反応を見る。

すると、勢いよく扉が開いて橙が泣きついて来た。



「なぁ、沙々!龍布と俊朗のことなんて好きじゃないよな!?」


効果ありまくりだ。

なので、普段はしないことをしてしまった。




「私は橙さまだけのものではありませんので」


その言葉を聞いて橙が倒れたのは龍布たちの責任である。


ありがとうございました!

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