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帝と平凡な恋  作者: 沢本 桃吏
第四章
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帝と平凡な恋 第五十三話 状況整理

第五十三話目です。

「一瞬たりとも気が抜けないな」


橙は難しい顔をする。

いつ攻撃が来るか分かったもんじゃない。


一旦状況を整理しよう。



まず、沙々と出会った。

    ↓

沙々が気になり侍女にした。

    ↓

朱江が四夫人の一人に手を出し、子供ができた事を知る。

    ↓

沙々に魔術を教えた。

    ↓

朱江を謹慎処分にした。

    ↓

魔術行使宗教が暗殺を企む。

    ↓

梓晴が妃になった。

    ↓

凛乱が寝起きドッキリをしてくる。

    ↓

宮を建て替える業者を頼んだ。

    ↓

朱江の子を孕んだ妃の父親たちが後宮に突撃してきた。

    ↓

東国の業者を装った奴らが戦争を起こす。

    ↓

怪しげな軍を鎮圧する。

    ↓

橙の母親が現れる。

    ↓

そして…ダメだ。まとめる事が多すぎる。



つまり簡単にまとめると朱江が主犯になって謎の軍勢やら俊朗やらを巻き込んで壮大な計画を立てた、と。



でも、なんか最近遠距離魔術攻撃を受けることが多い。


その遠距離魔術攻撃が使えるのが香蘭というのは偶然だろうか?



「一体なんで…」

橙がそう呟いた瞬間、視界が大きく揺れた。


突然激しいめまいが襲う。



「うっ」


床に座り込んだ。

なんで、いきなり…。


次の瞬間には意識が遠くなっていた。






沙々が橙を探しに行くと自室で倒れている橙を見つけた。


すぐに他の人を呼び、橙を寝台で寝かせた。


気絶しているだけに見えたが意識が全く戻らない。

医官が言うには呪いが関係しているかもしれないと言っていた。


このまま、意識が戻らないこともあるらしい。



「橙さま…」

最近、ろくに話せていなかった。

忙しいのは知っていた。


だけど、もう少し話しておきたいことがあった。



…香蘭さまのこと、とか。


「龍布さま。橙さま、大丈夫ですかね」


「分かりません。けど、もしも何かあれば…」

龍布は拳に力を込める。


「全力で殴ります!」


一体何を殴るのだろうか。



「まぁ、安心してください。一応、世継ぎはいるので」


「橙さま、子供いたんですか!?」



…知らなかったのか。

龍布はまずい事を言ったと思った。


確かに、橙に世継ぎができたことは一部の者にしか伝えられていない。

だから、知らないのも当然かもしれないが。



「橙さま。伝えていなかったんですね」

横になっている橙を見ながら龍布は小声で呟いた。



「それは、そうですよね。逆に子供がいない方が大変ですからね」


沙々は複雑な表情をする。

相手は皇帝。


こうなる事は分かっていたはずだ。



「龍布さま。私はいつもの仕事に戻りますので、橙さまの支えになってあげてください!」

龍布の両手を包み込むようにぎゅっと握った。



「は、はい」


女性の言動に弱い龍布は頬を微かに赤くさせた。


本当に初心すぎる。



「それでは」

沙々は妃兼侍女の生活を続けている。


そちらの方が楽しいからだ。


それに橙と会える時間も多くなるから。

そう考えて少し寂しい気持ちになった。


いつも元気だったのに。


沙々は溢れてきそうな涙をグッと堪えた。


「橙さまはきっと大丈夫」

沙々はいつも通りに仕事をした。

ただ、頭の片隅でずっと橙の顔がチラついていた。




「橙さま」

あんなに強かった人がこんなにあっさり呪いにかかるだろうか。


でも、今目の前にあるのが事実である。

龍布は頭を抱えてため息をついた。



「もし、橙さまが亡くなるようなことがあれば」


まだ生まれてもいない子が女の子だったら…。



不安の種は考えれば考えるほど増えていく。


「ただ、今回のが呪いだった場合、相手は皇帝が弱っている隙をついてくるだろう」


いくら宮や護衛を強化しても無駄という事は、早く起きてもらいたい。


残念ながら、秘書としてはまぁまぁでも、護衛としては主人に劣る。



なので、自分の身は自分で守ってもらいたいのだが。

「それじゃあ、護衛なんて意味がないよな」

まぁ、自分で守る前に防げるものは護衛で防ぐという身代わり的なものでもあるか。



橙がこうしている今、こんなに不安が込み上げてくるなんて。

普段どれだけ頼りになる存在か思い知らされる。



「橙さま」

 

「…んな、弱々しい声を出すな」


空耳か。

橙の声が聞こえた気がする。


そう思い、橙を見ると薄目で龍布を真っ直ぐ見ていた。


「と、と、と、と、と、橙っ…」

絶対に叫ぶと思ったのでまた橙はとっさにリップキウーデレを使う。



『テレパシアを使え。テレパシアを』


あっ、そうか。と龍布は手を打った。

これで、秘書が務まっているのがすごい。



『…んーと、これで伝わってるのかな』


『伝わってるぞ』


『あ、本当だ。それで橙さま、大丈夫ですか?』


龍布はとても心配になる。

ついさっきまで本当に気絶していたようだし。



『大丈夫だ、と言いたいところだが、正直体が思うように動かない。それに体調が悪いからか保持魔力の調節が難しい』


『そうなんですね』


『だから、保持魔力が少し暴走しそうだ』

軽い調子で言う橙だが、橙ほどの保持魔力が爆発したらとんでもないことになる。



『俺は、しばらくこの状態でいる。飯もいらん』


『分かりました』

そこら辺は察しが良いのでまだ、解雇しようとは思わない。




『では、みんなに報告を…』


『おい、ちょっと待て!』


やっぱり、察しが悪い。

つい、体を起こしそうになってしまった。



『なんですか?』


『俺が起きた事は秘密だ。秘密。沙々にもな』


口調からして怒っているようだ。

それでも表情を変えないのだからすごい。


その辺は大人である。



『それじゃあ、誤魔化しよろしく』



橙は内心ため息を吐いた。


ありがとうございました!

また、よろしくお願いします。

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