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帝と平凡な恋  作者: 沢本 桃吏
第二章
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帝と平凡な恋 第十七話 災いの予感

第十七話

「龍布、今度うちの宮の改修工事をする業者が来る」


「そうなんですね」


帝が住まう宮は、代々同じ場所でその宮も老朽化して来たということで改修工事を行うことになっていた。



そして、その業者がこの前の東国であった中年男たちなのであった。



「確か、五日後からだ」


「分かりました」


「龍布。お前、冷たいってよく言われないか?」


前々から思っていたことだ。



梓晴もクールだな、とは思っていたが龍布はそれ以上だ。




「…言われませんよ?」


「言われるだろ。では、なんで疑問符ついてるんだ?」


面白いし、揶揄わせてもらおう。



「そ、それよりも、明日の演説の件はどうされるのですか?」



人は弱いところを突かれると、相手の弱みを持ってくるらしい。


「い、いやぁ。なんのことかなぁ?そんなもの知らないなぁ」


下手な口笛を吹きながら誤魔化す。




「もしかして、まだ内容考えてないのですかぁ?」


ニヤニヤと反撃を開始する。

龍布はこういう所で意外で嫌な一面を見せてくる。



「考えてはいるぞ。さて準備だ、準備」









「お集まりいただき感謝する」


橙は空間内に声を響き渡らせる術を使う。




「橙だ。今日は私の理想論…未来像を発表する」


たくさんの人の注目を集めながら喋るのはとても恥ずかしい。




「私の思う、国の未来像は…いや、私が“必ず”実現させることを言います」



理想論なんて綺麗事で国の未来を片付けたくない。




「私は、国のみんなの希望を聞きたい。その上で少しずつかもしれないが、絶対に実現させる」


先代の皇帝が演説をしているたびに思っていた。


自分ならどうしたいかと…。




「みんなの理想通りになることは難しいと分かっている。けど、出来るだけ理想を現実のものにしたい」


出来るだけなんて、曖昧な言葉を信じられなくても仕方ない。



だから、期待に添えるように頑張りたい。



「と、話は終わりで、あとはご自由に楽しんでください」


両手を広げる。




その瞬間、美味しそうなご飯が机に並んだ。


「今日は、私の奢りだ」




それから、妃、宦官、女官たちはそれぞれ楽しみながら過ごした。


後宮内に入れない武官たちは後宮の外で宴を開いた。





「みんな、楽しそうだ」

橙は大人びた微笑を作る。



「えぇ、楽しそうですね」


龍布も珍しく笑った。



「楽しそうで何よりです」


橙が指名してついてきてもらった沙々は少しだけ楽しそうに言った。



「ずっとこのままがいいな」






と、そんなはずもなく…次の日から仕事三昧に戻った橙だった。






「お腹すいたぁ」



まだ薄暗い中、橙は空腹で目が覚めた。


「って、まだ誰も起きてないよな。起こしたら何か作ってくれそうだけど…迷惑だよな」




もう一回寝ようと、横になりかけた時走ってくる足音が聞こえる。



なんか、最近こういう場面多いな。



「帝!!」


「なんだ、朝から」



「そ、それが…ゴホッゴホッ」


武官が息を乱しながら、何かを伝えようとするがすぐにむせてしまった。




「大丈夫か?水だ」


イメージしたものを作り上げる魔術を使う。


というか、これは魔術というより魔法を練習していくうちに備わったものだ。




「あ、ありがとう、ございます」


水を一気に飲み干した武官は落ち着いたようで冷静に報告する。




「東国の謎の軍勢が攻めてきてるようです」


なんだ、その胡散臭い軍勢は…いや、それどころじゃないか。




「その軍勢は今、どこまで来ているんだ?」


「それが、まだ中央地域には入っていないのですが五日後には後宮についてしまいます」




五日後…何かあったような、なかったような。




んーまぁ、いいか。


「了解。指揮は俺がとろう」


「い、いいのですか?」



まだ、後宮についていないのなら軍部のお偉いさんに任せればいいかもしれない。




「あぁ、俺に任せろ」


だが、あの朱江が言っていた(らしい)ように自分自身に災いが降りかかるかもしれない。



ならば、その災いのもとになるかもしれない原因を自ら潰すしかない。




「これは、大戦争の予感だったりして…」


その発言が当たってしまうことを知るのはまだ少し先のことである。




ありがとうございました。


また、よろしくお願いします。

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