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この初恋は遅すぎた。

作者: Mea




「悪い、今日から一緒に帰れないわ。後、朝も一緒に行けない。」


「うん?」


ーーーこの間告られて、彼女できた。


少し恥ずかしそうに、でも嬉しそうに笑う彼を見て。


心臓が、一際強くどくんと鳴った。



「ーーー、初彼女か。良いなー。」


私も彼氏欲しい、そっか、彼女できたのか、なら私と登下校できなくても仕方ないね、そもそも、約束してた訳じゃないし、気にしないで、全然。


とか何とか彼に返して教室を出た。


"そっか、彼女できたのか。"


その日は、嬉しそうな彼の表情と言葉を反芻しながら、ぼんやりと帰り道を歩いた。









ーーー翌日。


彼は彼女と一緒に登校してきた。


いつも私と歩いてた道を通って。


私と話してた時よりもずっと、優しくて温かくて嬉しそうな表情で。


彼女と話をしながら。






別に、見るつもりは無かったんだけど。


私の席が丁度、登下校する人が見える位置の窓際で。


あまりにも早く着き過ぎたため、暇を持て余してぼんやりと窓の外の景色を眺めていたからだ。


見えてしまった。


見てしまった。


楽しそうに話す彼と彼女を。





心臓がまた強くどくんと鳴った。








それが、私の高校時代最も記憶に残った出来事。


私がこの初恋を自覚して、失恋した時の話。


それから彼は何人かの女性と付き合っては別れを繰り返し。


その度に私は幼馴染として彼と距離を置いたり、元の距離感に戻ったりしなければならなかった。


彼女と別れる度に彼が言ったから。


「今日からまた、一緒に登下校しようぜ。」


って。


愚かな私はその言葉に喜んで従ってしまう。








喜んでは傷ついて、悲しんでは喜んで。


繰り返し、繰り返し、諦められないこの恋に終止符を打てないまま。



私と彼は同じ大学、同じ学部の最終学年に到達した。


彼と同じとこを希望して進学したのは偶然だったけれど、彼と同じとこだと知った時に嬉しくなったのは過去のこと。







そんな彼は現在、フリーらしい。


つまり、私にも少しだけチャンスがあるってことで。


少しだけいつもより服装とかメイクにも気合いが入ってしまう訳で。








そんな日々が続く中。


ある日、突然、私にはほんの少しも、微塵もチャンスなんて無かったことを思い知らされた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「え。」


「「え、何?」」


「お前ら、付き合ってんじゃないのっ?」


「は?ーーーばっかお前、俺とこいつが付き合ってるわけ無いだろ。ただの幼馴染だよ。小さい頃から一緒に居るから、もはや兄弟みたいなもん。」


お前、兄弟と恋愛できんのか?


と、意図せず発されたその言葉に、無理矢理笑顔をつくった。


「は?お前らその距離感で兄弟とかーー。」


「ちょっと。ーーーそれ、姉は私だよね?」


「いやいや、どっからどう見ても俺が兄だろ?」


「私が姉。異論は受け付けないから。」


「はいはい。分かりましたよ。」


ったく、我が儘なんだから。


と、苦笑いしながら彼は降参のポーズをとった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


自分の部屋で、机に突っ伏して考える。




ーーー、そうか。


彼にとって、私は兄弟に近い存在で。


その立ち位置に居る限り彼は私と恋愛しない。




そうだったのか。


通りで。


「あー、ね。なるほど。」




いつまで経っても打てなかった終止符が打たれた。


私の意思に関係無く。


私の想いを置き去りにして。




「だったら、ない、か。」


この先、彼が私の想いに応えてくれることは。




「ない、のか。ーーー、そっか。」


そうか。




思考がぐるぐるループして。


彼の言葉を飲み込もうとして、飲み込めなくて。


愚かな私は諦められない。




そこに希望はないと知ってしまったのに。

ここまで読んで下さり、ありがとうございます。




本当は、続きを書こうと思っていたんです。


女の子が次の恋をして、そこで初めて、男の子側が本当は女の子に恋していたことに気付く、という内容を。


途中で力尽きてしまいました。


また意欲が湧いてきたら、このお話の続きの方を書くこともあるかと思います。


その時はまた、読んで下さる方がいらっしゃれば幸いです。

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