炎影
ひた走る影
拙者は疾走
雷電より速く
姫君のもとへと参る
あらぶる竜雲
闇の雲の間に間に
ともに運命託す
一蓮托生
孤城の月に
忍び込んだ奸計
「許さぬ……」
両手に刃 二刀流
口加え刃 三刀流
今宵舞う雪の如く白く
すれ違う刹那に紅く
噴き上げる心の臓より深く
奪う──
雷鳴とどろく稲光かける
夜空に己の影
分身の秘術は 命懸けて守る貴方様への秘儀
隠遁の内に斬り伏せる敵騎兵
孤城の月が紅く染まり
城内への潜入時には幾ばくかの手負い傷
「守らねば──」
闇かける鉄の石火矢
皮一枚の寸前でかわす紙一重
願わくばこの命
月の浮かぶ浜辺での契り
月明かりに波の照らされた時間
我が命より重く 魂より重く
今世の宿命をこの闇深き夜の帳の内から光のもとへと救い出す
我が血しぶきより火の鳥が舞う
導きて
逡巡──
斬。
切り落として首
斬り伏せて死に
やがて後方の支援部隊が姫君のもとへと駆けつける
己の死に様
悪くはなかったと──
瞼開けば
今際の時に 火の鳥が舞う
紅の命の火の粉落として