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殺し屋と葬儀屋  作者: トムボーイ
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緊急会議


関東牢 本部

 その会議室にて関東牢の各幹部が集められていた。


「今回の集会は葬儀屋の件か? それともあの赤ん坊の件か? どっちだ?」


 一人の幹部が煙草を吸いながら今回の集会を開いた沖内おきないかおるに問う


「なるほど、皆様葬儀屋がこの日本にやってきたという事はご存知という事ですか、ではその葬儀屋が礼の赤ん坊を現在保護しているという情報はご存知ですか?」


 沖内のその言葉を聞いた。幹部の一人が大きなため息を吐いた。


「面倒なことになりやがった。かなりな」

「その情報は確かなのか?」

「えぇ間違いありません、部下が確認を取りました」


 眼帯をつけた幹部がお茶に口をつける

 

「葬儀屋の要求は?」

「なにも、金を差し出しても見向きもしませんでした」

「だろうな、恐らく奴はその赤ん坊が何者でなぜ我々が追っているかも知らないだろう」

「なぜそう言い切れる? 他の組織の依頼で赤ん坊を横取りした可能性はないのか?」

「ねぇな、そんなウチに喧嘩売ろうなんて気骨のある連中はもう残っちゃいねぇよ、奴は訳も分からず赤ん坊と黒澤の所の娘を保護してる間違いない」

「……あり得るのか? そんなこと、それじゃあまるでキチガイだ」


 眼帯の男がほくそ笑む


「違いない、だからこそ奴はこの世界で最も恐れられる人間になった……」

「”キチガイ”とは随分なことを言ってくれるじゃねぇか、そりゃ今のテレビジョンじゃ放送禁止ワードになってるの知ってる?」


 聞き覚えのあるその声に会場の一同がゾッとした。

 全員が会場の入り口を一斉に視る、するとそこには不気味に微笑む葬儀屋の姿があった。


「よぉよぉ皆さん、お元気? いやぁ懐かしい顔も居るじゃないの、まぁだ野垂れ死んでなかったのか、運がいいな? クククッ」

「葬儀屋……てめぇ」

「おいおい、粋がるなよ、お前等今の状況が分かってるのか? まんまと自分達の秘密基地に潜入されてるんだぜ? それに今のお前等には武器もない、分かったかい? お前等が今如何に間抜けで無防備なのか」


 葬儀屋は会議室の大きな円卓の机の上に立つ


「馬鹿は高い所が好き、と言うが俺は馬鹿じゃないぞ、言って置くが」

「何の用だ?」

「用事って……すっとぼけるなよ、分かってんだろ? オタク等のお命頂戴に仕った次第に御座い」


 葬儀屋は懐から拳銃を取り出す。会場に緊張が走る

 そして沈黙

 ……

 二十秒ほどの間の後、葬儀屋は笑い出す。


「なーんちゃってな、お前等の命なんざに1ミリの興味もない、”今”殺した所でなにも得られそうもないしな、オレの要求はただ単純、あの赤ん坊と紅詩この二人に手を出すのはやめて貰いたい、そういう”お願い”をしに参上仕った次第で御座い、なかなか格好いい台詞だろ? ジャパニーズ時代劇を見て勉強したんだ」

「……なぜ首を突っ込む」

「クククッそりゃオタク等がさっき話してた通り、大した理由はない、ただ捨てられた犬みたいで可哀想だから、それだけさ、あのガキがどんな理由でオタク等に追われてるのかそんな理由にも興味がない」


 葬儀屋が沖内に顔をグッと近付ける


「で、返事は?」

「承知しました。安心して下さい、もう彼女達には手を出さない」


 葬儀屋の言った通りこの状況で葬儀屋に反抗するという選択肢は一切残されていない


「ま、別にその言葉を信用してる訳じゃねぇけどさ、まぁ分かったろ? お前等ていど簡単に殺せる、なんて事なく……あぁ安心しろよ外に居る部下共には一切手を付けてない、あとこれは返しておく」


 と言って葬儀屋は拳銃を机の上に落とした。


「じゃ、そういう事なんでよろしく頼むよお偉い方」


 と言って扉の前に立った所で踵を返す。


「そうだ。最後に聞いて置こうと思ったんだ。あの赤ん坊の名前は?」


 葬儀屋の質問に暫くの沈黙の後、眼帯の男が答えた。


「光だ。葬儀屋」

「光ちゃんね、へぇ良い名前じゃないの素朴で、なぁ? 祐二くん?」

「名前で呼ぶんじゃねぇよ、前にも言ったろ」

「いい歳したおっさんが名前呼ばれたぐらいで照れるなよ、気持ち悪いぞ」


 と言い残し葬儀屋はその場を去った。

 

「……イカれてやがる」

「言った通りだっただろ?」



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