きっかけは
最初に彼女を認識し始めたのも婚約破棄の時だったと思う。
私──リリー・イーストンは平民でありながら、魔力があるという事で貴族の方々が通う聖ルトワール学園に入学した。
当初は周りの風当たりも厳しかったが、時が経つにつれ仲良くしてくれる人も増え、全てではないが周りの態度も軟化していった。
少しずつ学園が楽しくなってきた中、出会ったのが第2王子のクラウス・ウィルソン殿下だ。殿下は勉強や貴族社会でのルールを分からない私を不憫に思ってか、時々声をかけて下さりいつの間にか一緒に過ごす事が多くなってきていた。
もちろんそんな私を良く思わない人は多く、影でこそこそと言われることも増えていたが、一番嫌われているのではないかと感じていたのは、やはり殿下の婚約者のジュリア・フローレス公爵令嬢だ。
目が合うと少しだが、眉間に皺がよるし、話しかけても返答は刺々しく相手にされないことも多い。
婚約者と仲良くしてしまっているからというのが大きい理由だったが、彼女の見た目が美人すぎるのも、そう感じる要因の一つだったように思う。なにせ金髪のウェーブがかった長い髪は光が当たるとキラキラと輝き、藍色のキリッとした瞳は優美さを兼ね備え、美人とはこういう人のことを言うのだと実感するほどだ。
顔が整いすぎてるためか、表情がなくなると迫力が凄く、怒っているように感じてしまうのだ。実際彼女が怒る理由もわかるので、嫌がらせが酷くなりその犯人が彼女だと周りの人達に言われた時も、そんなに怒らせてしまったのかと考えるくらいで素直に信じた。
そう……信じてしまったのだ。まるでそうあるのが当然とばかりに。
そんな、ある日の事だった。




