表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

おばあちゃん家の猫

作者: そらちょまる

 雨の中、生まれて数ヶ月の俺は飼い主に捨てられ、ダンボールの中で凍えていた。


 ろくに食事も与えられてなかったせいか動けもしなくて、幼いながらに死を覚悟した。


 そんな俺の元に傘を持ったアンタが現れた。


 愛想のない俺を見て微笑み、食事を与えてくれるアンタは、まだ拾われて間もない頃、心底気持ち悪くて理解出来なかった。


 俺はアンタに拾われてから、随分丸くなった。


 アンタの優しさに甘えて、食事を多く強請ったから。


 そんな丸くなった俺の事を、幸せそうに見つめてたアンタを見て、なんとも言えない気持ちになった事をよく覚えている。


 暫くして、暑い時期になるとうるさい奴らが頻繁に来るようになった。


 家にやって来ては、大きな声で騒ぎながらドタドタと走り回る。


 更にうるさいだけでは飽き足らず、俺を無理矢理抱きかかえて撫でたり、興味のない猫じゃらしを執拗に目の前でブンブン振ってくる、とにかく迷惑な奴ら。


 でも、もみくちゃにされてる俺を見て微笑んでる時のアンタの顔は、嫌いじゃなかった。


 冬、寒さに耐えかねてアンタに擦り寄った俺に、決まってアンタは『レオは寂しがり屋さんだねぇ』と言いながら、しわくちゃな手で撫でるまでがお決まりだった。


 別に寂しくなんかねぇよ。


 いつも心の中でそう毒づいていた。


 寂しくなんかない。


 でもな、なんでだろうな。


 うるさい奴らも居なくて、寒くて。


 こんな日に横になって動かないアンタを見てると、少し、ほんの少しだけ、胸が苦しいよ。


 俺、随分丸くなったみたいだよ。

お読みいただき、ありがとうございます。

よければ、ブックマークや高評価をぜひお願いします。

評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ