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アテーナーの戦士たち  作者: ルト
第1章
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第4話 独裁国家

「生まれながらにして、(たたか)わなければならない。それってどういう意味だよ!?」


 ゴローが()いた。


「君達は知らないだろうけど、この世界ではほんの10年前まで、世界中で戦争が起こっていた。この世界では、主に魔法や魔道兵器(まどうへいき)と呼ばれるものが、武器として使われている」

「あの魔法って、武器や兵器にもなるのか!?」


 ショーイチが云う。


「もちろん。私の使える水属性(みずぞくせい)の魔法も、武器として使える。しかし、魔法を使えない人が多数を()めているユーフラテスは、魔法を使える魔族の兵士はごくわずかしかいなかった。だから、人間界から入って来た銃などの兵器を使って戦ったんだ」

「そ……そうなのか」


 戦争。二人が過ごしてきた世界とはあまりにもかけ離れた出来事(できごと)であった。


「それで、ここからがミソなんだ」


 ユウが云った。


「戦後、魔法の強力さを痛感(つうかん)した政府は、魔族を、本人の意思に関係なく強制的(きようせいてき)徴兵(ちようへい)するようになったんだ」


 ユウの声は、途中から(ふる)えだした。


「……私の両親も、私が幼い頃に戦場に行き、そして死んだ」


 ユウの目から、一筋の涙が零れた。涙は頬をつたい、そしてユウのスカートの上に落ちた。


「すまない、こんな話をして……」

「そ、そんなこと云うなよ」

「そうだよ、元気出してくれ」


 二人はユウを慰める。ユウは涙を指で拭うと、鼻をすすった。


「……ありがとう」


 少しして、落ちつきを取り戻したユウは、話を続けた。


「今、ユーフラテスの政府は魔族やこの世界に迷い込んだ魔法を使える人間を、強制的に軍隊に連れていくんだ。本来ならこんな前近代的な事、許されるはずがない。そこで、私達魔族は、政府と戦うためのレジスタンス組織として『リベレーター』を組織した。獣人や他国、それと人間界からの協力で『リベレーター』は戦力を整えている。本部の調査によると、政府がアポストロス・ゲートを使い、人間界で魔法を使える人間をこっそりとさらっているらしい。『リベレーター』は、そうして連れてこられた人間を保護し、人間界へ返すための支援もしている」

「アポストロス・ゲート……?」


 ショーイチが首をかしげた。


「――人間界とこの世界を結ぶ、この国の次元間移動手段の一つだ。現在は政府が完全に私物化している」

「どうやったら、戻れるんだ?」


 ゴローが訊いた。


「アポストロス・ゲートは四か月に一度、主に人間界と交易をするために解放されているが、緊急時には臨時(りんじ)という形で開けることができる。アポストロス・ゲートを管理している役人に、賄賂(わいろ)を渡すか、もしくは銃や魔法の力でおどすかして、開ければいい」

「ずいぶんと好戦的な……」


 ショーイチが少しだけ引きながら云った。


「なぁ、そのアポストロス・ゲートとかいうもの以外には、何かないのか?」

「それは、どういうことだ?」


 ユウがゴローに云う。


「つまり、その次元間移動手段――だっけ? アポストロス・ゲート以外にはないのか?」

「あぁ、あることは……ある」


 ユウが云った。


「他の国にも、次元間移動手段はあって、人間界との間を行き来することができる。しかし、次元間移動手段は、ほとんどがその国の政府の管理下にある。簡単には扱えない。だから、役人に賄賂を渡したり、銃や魔法でおどすかしたほうが、リスクは高いけど早いんだ」

「よし、じゃあすぐに行こう!」

「待って!」


 動き出そうとしたショーイチを、ユウが引き止める。


「武装を(ととの)えてからにした方がいい。君達の魔法も、まだ見ていないし、そもそも攻撃に使えるのかどうか分からないし」

「大丈夫なのかよ……武器なんて持っても」


 ショーイチが不安そうに云った。


「こちらの世界では、護身用の武器を持っている人が多い。購入や使用に一定の制限はあるが、ほとんど無視されているし、没収されることもない」

「人を殺したりしたら、さすがにヤバくないかな?」


 ゴローが訊いた。


「政府の役人は私達『リベレーター』を敵視している。武器や攻撃魔法の使用は正当防衛だ。急所も外すから心配ない」

「慣れているのか?」


 ショーイチが訊いた。


「四年もやっていると……さすがに慣れてしまうな」


 ユウの物悲しい表情に、二人は感じた事のない気持ちを抱いた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

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