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アテーナーの戦士たち  作者: ルト
第2章
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第16話 発動条件

 メインキャビンでユウとショーイチが話していると、ゴローとマリアがやってきた。


「おっ、2人とも個室から出てきたのか」


 ユウが云った。


「ユウとショーイチは、ずっとここで?」

「ああ、そうだ」


 ショーイチが云った。


「もしお腹が空いていたら、そこに小さなキッチンがあるから、何か作って食べるといいぞ」


 ユウが、メインキャビンの後部にある小さなキッチンを指さした。


「ゴローさん、お腹空いてませんか?」

「いや、今は――」


 ゴローが云いかけたとき、ゴローのお腹が盛大(せいだい)に鳴った。


「あ……」


 ゴローが顔を赤くし、マリアが優しく微笑(ほほえ)む。


「それじゃあ、私が腕によりをかけて料理を作りますね!」


 マリアはそう云うと、小さなキッチンの前に立ち、料理を始めた。ゴローはユウとショーイチが座っている場所に向かい、イスに腰掛ける。


「いつの間にか、お腹が()いてたみたいだ」


 ゴローはそう云って笑った。


「なぁ、ゴロー」

「え?」

「マリアさんと何かあったのか?」


 ショーイチに()かれ、ゴローは顔を赤くした。


「い……いや、何もないよ……」


 ゴローはそう云って誤魔化す。


「本当か……?」


 ショーイチは無性(むしよう)にゴローをいじりたくなった。


「本当だってぇ~……」


 ゴローは必死になって誤魔化(ごまか)す。そんなゴローは、どこか可愛らしい。


「どうかしましたか?」


 ショーイチが顔を上げると、マリアが料理の乗った皿を持って立っていた。


「あっ、マリアさん……」

「ショーイチさん、あんまりゴローさんをいじめちゃダメですよ? 人間界(むこう)でも仲は良かったんですよね?」


 マリアの声は優しかったが、どこか恐ろしさを含んでいた。


「は……はい」


 ショーイチはそう答えるしかなかった。


「ゴローさん、料理できましたよ」


 マリアはそう云って、ゴローの目の前に料理を置いた。ゴローが喜んで食べていた、あのフライドチキンのような料理だ。


「おぉっ! これは!」

「ゴローさん、これ好きでしたよね? いつも『美味しい、美味しい』と云って食べていたので、作ってみたのですが……」

「いただきまーす!」


 ゴローは早くもチキンにかぶりついた。


「な、なぁ、ユウ……」

「間違いないな……」


 ユウとショーイチは、そっと頷いた。2人の前には、マリアの手料理を美味しそうに食べるゴローと、それを嬉しそうに見つめるマリアがいた。




「ユウ」

「ん? どうした?」


 ショーイチから呼ばれて、ユウはそれに反応する。


「俺って、確か……火属性? だったよな?」

「ああ、本部で詳しく調べてみないと分からないが、あんなすごい火の塊を繰り出したんだから、多分そうだろう」

「俺が火属性なら……ゴローはどうなんだろう?」


 ショーイチはそのことが気になっていた。ゴローはショーイチと違い、左目が空色だ。この違いには、きっと何かしらの意味があるに違いない。


「……正直、今は分からないな。本部で詳しく調べるか、又は――」

「……又は?」

「カプシカム司令官が云っていたように、ゴローが、ショーイチのように何かのはずみで力を発揮すれば、何か分かるかもしれないな」


 2人はゴローを見た。ゴローはマリアと人間界のことについて話している。


「そうだ! ショーイチ、クヌギ村でピックアップトラックを燃やしたとき、どんな気持ちだったか覚えているか?」

「覚えているけど、それが……?」

「魔法を発動するときは、魔法を使う者の気持ちが影響を与えることが多いんだ。何かヒントになるかもしれない」


 ユウが云う。


「気持ちが……?」


 ショーイチは、ピックアップトラックを燃やしたときのことを思い出す。そういえば、あの時……。


「確か……あの(かん)(さわ)る声にキレたっけ」

「ということは……かなり怒っていたのか」


 ショーイチは(うなず)いた。


「それで、そのまま思いつくままに動いていたら……火の塊でピックアップトラックを燃やしてた」

「なるほどな……ショーイチの魔法の発動には、怒りの感情が作用していたのか」


 ユウはそう云うと、ペンを取り出し、メモ帳に書き込んだ。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

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