プロローグ
ここはどこだ?
少年は、そう思った。彼の名は須藤昭一。周りからは、ショーイチやショーちゃんなどと呼ばれている。
ショーイチが今いる場所は、ショーイチがよく知っている場所ではなかった。高層ビルが立ち並ぶ、大都会の真ん中だった。しかし、大都会の真ん中なのに、人は一人もいない。いったいどうしてこんな場所にいるのか、ショーイチには分からなかった。気がついたら、ここにいたのだ。
「すっげー都会だな」
ショーイチは目の前の摩天楼を見上げて呟く。
そのとき、目の前に一人の少女が現れた。青い目をした銀髪の、どこかアクティブな印象の少女だ。スタイルは良く、間違いなく可愛い子だ。ショーイチはそう確信する。
しかし少女は、何故か拳銃を握りしめている。
「君は誰?」
「私は――」
少女が云いかけたとき、何かが落ちてくる音がする。
「危ねぇっ!」
ショーイチの身体が勝手に動き、少女を抱えてスライディングする。その直後、空から何かが落ちてきて、爆発した。
爆弾だ。ショーイチはそう確信する。
「お前……」
少女が何か云おうとするが、ショーイチはすでに別のものを見ていた。
地平線から歩いてくる、何百人もの兵隊。全員がガスマスクで顔を覆い、銃器で武装している。だが、中には手を振り回したりして、踊るような行動をしている者もいる。あれは一体なんだ?
ショーイチは立ち上がると、両手を前に出して力を込める。なぜそんなことをするのか分からなかった。身体が勝手に動いてしまい、自分で制御できない。
手の先に、大きな火の玉ができあがる。不思議なことに、熱さは全く感じない。
そして力を解放すると、火の玉が兵隊に向かって飛び、兵隊たちが悲鳴をあげながら逃げ惑う。兵士たちは火の玉に捕まると、次々に火だるまになり、紙くずのように燃えていく。
焦げる臭いが鼻を突く。
やってやろうじゃないか。
そう思った矢先、ショーイチに聞き覚えのある声が聞こえた。
勝手に動いていた身体が動かなくなり、先ほどまでの景色が薄れていく。
これは……いったい何なんだ……?
そういや、前にもこんなことがあったような気が……。
「お前……その……目は……」
少女の声が聞こえてくる。
え? 目が何だって?
俺の目がどうしたっていうんだ?
ショーイチがそう思ったとき、ショーイチの視界がブラックアウトした。
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