ヤンキーガール
僕は今、人生に数えるほどしかないピンチに陥らされている。
思えば今日に限って寝坊をした僕が悪いのかもしれないが。
「宮路じゃん、おはよ」
「…」
いつも遅刻してくる、校内ですら知れ渡っている。不良の少女に絡まれてしまっている。
「何?シカトしてんの?」
「…お、おはよ」
彼女の容姿は凄く綺麗で高校に入った頃は噂になるほどの美少女だったが、その素行の為に今では良くない噂が流れるようになってしまっている。
「ちゃんと聞こえてんじゃん、返事しろっての」
彼女はそう言いながら靴箱から自分の上履きを取る。僕は彼女が立ち去るのを待つようにゆっくり歩いて靴箱に向かっていく。
「何してんの、さっさと行くよ」
何故か知らんが、彼女は靴を履き替えて、律儀に僕を待っていた。
「あの、先に行ってていいですよ」
僕が怯えながら言うと、彼女は不思議そうな顔で答える。
「は?何言っての?同じところ行くんだから、一緒に行くにきまってんじゃん」
そうなのか、僕なら迷わず一人で行くな。
「ぼ、僕、自販機寄るから先行ってて」
「どうせ遅れてるし付き合うわよ」
に、逃げ道が塞がれてしまった。彼女は未だに僕を待ってくれてるし、と思考を巡らせていると、彼女が近づいてくる。
「ちょっと遅いんだけど」
僕が咄嗟的に一歩身を引くと、彼女は不機嫌になったのか僕に眼をつけながら、近づいてくる。
「何避けてんのよ、言いたいことあるなら言いなさいよ」
「な、何でもないよ」
「じゃあ逃げないでよ」
そう言いながら彼女は僕に詰め寄ってくる。
ドシ!僕の背中は壁に当たる、逃げ道がなくなり左右を見渡していると、もう彼女は目の前にいた。
左に逃げようと顔を向けるとそこに彼女の右腕が現れる。
「これ壁ドンっていうんだってさ。どう?ドキドキする?」
彼女は凄く綺麗な容姿をしているが、恐怖がそれを上回ってそんな感情はわかない。
僕が青ざめていくのを見て悲しくなったのか彼女は手を下した。
「からかってごめんね、だからって私も誰にでもするんじゃないし、そんな反応されるのも嫌だったの」
そう言うと彼女は教室に向かって走っていった。
感想などをいただいていたのに申し訳ございませんが、新人賞の方の締め切りがヤバいので二日に一回投稿に戻らせていただきます。
あと、多く書けなかったのですが、女性の壁ドンって何故か男性のよりドキッとしません?