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ドラゴンスレイヤー/アベンジャー~二重人格~

「ドラゴンの場所を教えても構いません。でもこっちのお願いも聞いて貰えませんか?」


「何?」


「私の知り合いのお兄ちゃんをそのドラゴン退治に連れて行って貰えませんか!」

「そのお兄ちゃん、ジクお兄ちゃんもドラゴンスレイヤーを目指しているんです。

お兄ちゃんは既に一匹ドラゴンを退治してます。

あと二匹で試練の一つをクリア出来ます。」


「ふーん。」その名前どこかで聞いたような・・・。

「何だ!じゃあそのお兄ちゃんにドラゴンスレイヤーになって貰えばいいじゃない?

私の興味はドラゴンスレイヤーには無いしね。興味あるのは情報だけなんだから。」


「本当ですか!

じゃあお兄ちゃんがここに来たらその事伝えます!明日また来て貰っても良いですか?」

「あっ、明日?明日はちょっとマズイかな?明後日にして貰おうかな。」


「はい。それでも構いませんけど。じゃあ明後日の今の時間という事で。」


「分かった。」

そう言ってリイゼとメッソは古書店を出た。


「明日何かあるんですか?もっと重要な用が?」


「うるさい。あるんだよ。」


「明後日あっしもお供して良いっすか!」


「ドラゴンがいるところまで来る気?死ぬかもしれないよ?」


「お供するのも初めてではないんでさぁ。」


「なるほどね。おこぼれ狙いって訳か、でもダメ!あんたの役目はここまでよ。」


「ええ!そんな!それはないぜ!」


そんなメッソの言葉も聞かず

「じゃ!」と言ってリイゼは突然走り出した。そしてあっと言う間に曲がり角を曲がりメッソの視界から姿を消した。


メッソも急いでリイゼが曲がったすぐ後を追いかけたのに角を曲がるとリイゼの姿は既に無かった。


「あれ?あれ?」

やられた!なんて足の速いお方だ。

メッソはまばらな歩行者の顔を確認しながらリイゼを探し追いかけた。


しかしリイゼは角を曲がったすぐ上空、街灯の上にいた。

さようならメッソ、もう会う事は無い。

リイゼはトルファの古書店に戻った。



リイゼが古書店の扉を開けると、「あれぇ?どうしたんですか!?」

とトルファが目を輝かせ同じハイテンションで迎えてくれた。


「ええ。明後日の集合の事だけど明日に変えて貰いに来たの。」」


「え?それは構いませんけど。」


「明日、私と同じ顔をしたエルという女性が来るわ。

事情を説明しておくから、その女性をあたしだと思って接して欲しいの。」


え?え?トルファは言ってる意味が理解できず、困惑した。


「えっと~リイゼさんは、来ないって事ですか?」


「いや、そういうわけでは・・・。」

う、説明するのは苦手だ、こういう事はエルの役目だ。


「それは明日エルが説明する。」


「エルって誰です?」

ハァハァと息を切らせメッソが突然現れた。

ヒドイぜ姉さん!俺を巻こうなんて。ハァハァ、あー疲れた。


う!メッソ!

聞かれてしまった!あたしの敵はエルの敵になってしまう。

この秘密を多くの人間には知られたくなかったのだが・・・仕方がない。


「もう諦めてくれよ。俺は何が何でも着いてくぜ!」とメッソ


「・・・あ~、分かったよ。諦めた。」とリイゼはため息をついた。


「お!?良かった!意外とあっさり!

で、そのエルって人もメンバーに加わるのかい?」


「エルはもう一人のあたしだよ。あたしは二重人格なんだ。」


「ええ!?」


二重人格!?

トルファとメッソは顔を見合わせた。


「エルとあたしは寝ると人格が入れ替わる。

詳しくは明日エルに聞いてくれないか?あたしは説明するのは苦手だ。」


「へーマジかよ。そいつは面白い!明日が楽しみだ。へへへ」

無邪気に笑うメッソだったがリイゼの心境は複雑だった。


やれやれ・・・すまんエル。と心の中で誤った。



次の日



エルは規則正しい生活を心がけている。

リイゼがどんなに遅くに寝たとしても大体同じ時間に目が醒める。

リイゼが自由気ままで不規則気味なのでエルがそれを補うように体調管理をしている。

日記の他にも食べた食事をノートを書くようにリイゼに伝えているのだが、度々書いておらずエルのストレスの元となっている



今日もエルは同じ時間に目が覚めた。

素早くベットの周りを見渡す。今日は男が隣で眠っている事は無かった。

心臓に悪いからもう二度とゴメンだ。



エルは目覚めた時の瞼の重さで何時間くらい寝たのか分かるようになっていた。

昨日はお酒も飲まず比較的早く寝たようだ。よしよし!

目覚めの気分は悪くなかった。

髪はボサボサに乱れていて、上半身裸だが、毎度の事なので慣れようと努力した。

ズボラで男気質なリイゼは全裸で寝たがったが、何があるか分からないので、それだけは止めてくれと伝え、パンツだけは履いて寝る事を妥協させた。



シャワーを浴びる前にノートで昨日の出来事を確認する。

書いてある文量を見てエルはビックリした。なに?どうしちゃったの?

1ページビッシリと文字が詰まっていた。よほど濃い1日だったのだろう。



昼に男と戦う羽目になった事、メッソという男と知り合いドラゴンに詳しい少女トルファの古書店まで案内してもらった事、モーガニクスの事、トルファに出会ってドラゴンスレイヤーになる男に協力する事になった事、今日そのメンバーと古書店で会って今後の事を話合うなどが書かれていた。



チェックアウトの10時にメッソが迎えに来るから古書店まで一緒に行くようにと書かれていた。

メッソが来たら合言葉を言う事。合言葉は・・・。

なにコレ?



でも凄い進展ね。

あまり人と関わりたがらないリイゼがね。私もだけど・・・。

さ、シャワーを浴びてメッソって人を待つか。と独り言を呟き部屋に備えつけられているシャワー室に入った。



二重人格のエルとリイゼだが、基本人格がどちらなのか定かではなかった。

物心ついた時にはもう2つの人格が内在していた。



エルの子供の頃のトラウマで人格交代が起こる事からエルが基本人格なのだろうとババからは言われていた。

エル人格の時に大きな火を見るとリイゼに切り替わる事があるので、

人生のトータルではリイゼになっている事の方が若干多い。なのでエルは基本人格だから特別という意識はなかった。



エルが目覚めた時に危惧するのは戦闘担当のリイゼが大怪我を負う事と、リイゼと揉めた相手とエルが出会う事だった。

なのでエルはリイゼと正反対の服を着るようにしており、髪型も変える。

これは危険を回避する為のエルの知恵だった。



エルもファッションに関してはあまり得意ではなく流行に流されない、いつの時代でも通じるような服を着る。

常に家政婦さんのようなファッションで唯一のオシャレがリボンを変える事だった。



リイゼと正反対の服を着るおかげでエルの時に知らない男から絡まれる事は減った。

それでもエルの時に突然リイゼに入れ替わった後トラブルを起こすのがリイゼという人間なので油断はできない。

その時はマントを羽織り服装を変えるように伝えている。



エルはシャワーを浴び終わると家政婦さん風の服を着用した。

部屋の時計を見るとまだ9時前だった。



メッソって人が来るまでにまだ時間があるわねぇ。

エルはもう一度ノートを見て昨日の出来事への理解を深める事にした。



特にドラゴンを寄せ付けないモーガニクスに関する記述に興味を持った。

レッドドラゴンにも有効なら個人的に手に入れた方が良いに決まっているからだ。

もっとモーガニクスについても調べた方が良さそうだ。

エルはモーガニクスを発明した人にも会う必要性を感じた。



それとこれからドラゴンスレイヤーになるという男に協力するなんて何を考えているのだろうか。

まさかその男に惚れたのではあるまいな。やめてよね!など無粋な事を考えた。

男なんて信じられない。それに私より先に死ぬんだ、親密になるなんてもってのほか。などと考えていた。



その時ドアがトントンと叩かれた。

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