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公爵令嬢と社交界デビュー(2)

デュークが彼女と出会ったのは、7才の頃…

宮廷の中庭に白い薔薇の花が咲く初夏の事である。


 


あの頃のデュークは、幼く、なにもできない子供だった。ただ、正妃である母が亡くなったことで、自分の立場が大きく変わったことは覚えている。


 


この中庭の薔薇のような真っ白な顔をした母が亡くなって数日後、7才のデュークは可愛くないことに、告別式でも泣くことなく、黙って前をにらみ続けていた。クロスフォード王国の正妃である母は隣国シュヴァルの王女。もともと諍いの絶えない両国は、婚姻を結ぶことで同盟を結び、一時的な平和を得ていた。両国の関係は、母の死によって必然的に悪化していき、その息子であるデュークにも影響を及ぼした。

第2妃だったアンリエットが正妃につき、隣国との同盟を良く思っていない重臣たちによってデュークの王位継承権を2位に降ろされた。アンリエットはクロスフォードの伯爵家の出であり、敵国の王妃の子であるデュークよりもふさわしいとして、アンリエットの子である第3王子アルフォンスが王太子となった。心無い使用人の噂話は、幼いデュークの心に深く影を落としていた。

そんな中、自分の後見人となってくれたのが、宮廷内でも右に出るものがないほど格式高く、王家との親交も厚いトゥエラ公爵であった。

もう30代半ばに差し掛かるカティスは、20代前半と言っても差し支えないほど若く、デュークが今まで見たこともないくらい呆れてしまうほど甘いマスクをしていた。

「殿下、私には二人の子供がいるのですよ。」

そういって紹介されたのが、ヴァンと彼女だ。ヴァンは当時12才であるにもかかわらず、父親から余すことなく受け継いだ甘いマスクと、うんざりするような色気を発していて、正直苦手だった。

そのヴァンの後ろに控えめにたたずんでいたのが、当時4才のリティエラだった。

4才のリティエラは非常に愛らしく、カティスやヴァンのしつこいくらい煌びやかで輝かしい金髪碧眼とは少し異なり、落ち着いた金髪で、瞳は穏やかで暖かみのある碧色をしていた。肌は白磁のように白く染み一つない。360度どこから見ても完璧な美少女。

彼女は天使のようなその顔で、微笑んだ。


 


(思えばあの時、俺はリティのことが好きになってしまったんだろうな)

それからリティエラとヴァンは、2日と空けずにデュークの元に遊びに来た。一緒に勉強もした。ヴァンの剣の稽古に一緒に行くようになっからは、リティはお菓子を持って差し入れにきてくれた。

リティは、その場に誰がいても必ず一番にデュークの名前を呼んだ。それがどんなにデュークの心を支えたことか。

デュークにとって、リティエラという小さな存在は、かけがえのないものになった。

だから諦めようとしたのだ。敵国の王妃の子である自分は、彼女を汚してしまう。彼女の幸せを奪ってしまう。

デュークがリティエラを避けるように騎士団に入って6年、一度も彼女には会っていない。

誰かに奪われてしまうかもしれないという衝撃でつい建国祭の出席を決めてしまったが、リティエラに会うことに不安を感じているのだった。


書き始めはどうしても説明とかで文章重くて申し訳ないです(´・ω・`)

ちゃんとコメディするように頑張ります。

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