兄の想い
陽多視点です。
俺には可愛い妹がいる。
目に入れても痛くないくらい溺愛している妹が。
俺は妹とアイドルをやっている。
これは俺達二人だけの秘密だ。
俺達はアイドルになる気なんてさらさらなかった。
母親が履歴書をオーディションに勝手に送ったことによる不可抗力ってやつだ。
しかも、社長に気に入られちまったから、仕方なくアイドルをやることに二人で決めた。
最初は半分遊びキブンでやってたことは否定しない。
妹(奏多)とアイドルをやっているという秘密の共有をしていることが嬉しくてたまらなかった。
あと可愛い奏多を他人に見せびらかしたかったっていうのもあったりする。
でも一つ誤算だったのが、奏多が男装の麗人に仕立て上げられたことだ。
俺の可愛い奏多に男装紛いの格好をさせるなんて気に入らなかったけど、社長命令じゃ文句言ったってしょうがない。
まぁ奏多が楽しそうだから譲歩してやることにする。
でもなんで俺が女装紛いの格好をさせられてんだ!
俺が女装紛い、奏多が男装紛いをさせられるのは大きな誤算だ。
ちなみに家族はこのことは知らない。
サフィーが奏多でルーが俺だと思っている。実際はまったくの逆なんだけどな。
これは本当に二人だけの秘密だ。俺達と社長・俺達の専属スタイリストしかしらない。
まぁ、スカートを穿かされないだけマシなのかもなーとは思う。
性別も不詳っつーコンセプトらしいからその点は感謝してやっても良い。
でも、奏多のスカートは見たかったな。
俺のコンセプトは天使だからやたらめったらフリルとかレースがついてる。
俺の衣装を奏多が着たら心底悶えるほど可愛いと思う。
ルーの仮面を被る前の奏多は、ぱっちり二重のアーモンド形の瞳につやつやサラサラの闇色の髪でめちゃくちゃ可愛い。
顔はクールビューティーなのに、ちょっとおバカでさー。
腕の中に閉じ込めておきたいくらいだ!
でもルーの時はメイクに加えて表情作ってるから、どうみても精悍なイケメンになっちまうんだよなー。
いわるギャップ萌えってやつなのかもな。
奏多は私服も黒とかワインレッドとかダーク系の色味だから、俺の衣装を着せたらマジで可愛いとおもうんだよなー。
実際着せた時はハンパなく可愛かったんだ!もちろん服に合わせたメイクにしてもらってさ!!
あれを見た瞬間奏多が本物の天使に見えたくらいだぜ。
ちなみに奏多の衣装はほぼ黒一色。
たまに挿し色に赤とか青とか紫とか入るけどほぼ黒っぽい衣装なことは断言できる。
俺の衣装と違って奏多の衣装はシックなものだ。
ふわふわヒラヒラした装飾は皆無、その代りみたいにシルバーチェーンがじゃらじゃら付いてたりする。
装飾は俺は白系の服で金、奏多は黒系の服で銀。
曲調によって衣装のイメージを男っぽくするか、女っぽくするかを決めてる。
そして衣装のイメージで髪型も弄る。
俺は長さにかかわらずほぼ金髪の鬘。
奏多も長さにかかわらずほぼ黒髪、長さによっては地毛。
髪型の特徴は必ず対になるか、同じ色のメッシュを入れること。
あと衣装で必須なのは俺達が同じ小物を付けること!
付けるとこはまちまちだけどな、お揃いって良い気分になるから絶対つけてるぜ。
そんなこんなで最初は乗り気じゃなっかたけど、今は真面目に楽しんで仕事してる。
正直最初はここまで人気が出るとは露にも思ってなかった。
一時のブームですぐに下火になって消えるだろうと思ってた。
だから、売り出しの時は小遣い稼ぎくらいにしか思ってなかったのに、だんだん加速していくブームに焦った時期もあった。
でも奏多が出来る所までやろうっていうから俺は最後まで付き合うことにした。
やれるとこまでやってやるぜ!
頑張り屋の奏多は忘れられることが極端に怖いらしい。
だから、ファンの人たちだけじゃなくファンじゃない人たちの記憶にも残るようなそんなユニットにしたい。
それが俺の密かな野望だ。
もし皆が俺達のことを忘れたとしても、俺だけはずっとそばにいてやるからな!
シスコン感がすごいことになってしまいました。
陽多は奏多のことが基本大好きです。