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2年後

デビューライブから約2年…


私は今武道館に居ます。

只今全国ツアーの最終日のライブ真っ只中です。

「今日はみんなありがとう。

最高な1日だったよ」

「また会おうぜ!」

そんな言葉で締めくくられてライブは終幕。

歓声と熱気に包まれたステージを颯爽と出て行く天使と悪魔。


「お疲れ様でしたー」

その言葉を皮切りにそこらで乾杯とグラスを鳴らす音が響く。

今はツアーの打ち上げつまりはお疲れ様会だ。

「だりぃ、早く帰って寝てぇな」

隣に座る陽多がコーラをちびちび飲みながらぼやく。

私たちは未成年だからアルコールじゃなくてソフトドリンクを飲んでいる。

「明日は1日オフなんだから少しくらい付き合ってあげてもいいだろ?」

「そうだけどさぁー、体がダルいのなんのって」

「それは僕も同じ、体がキシキシいってるよ」

ため息をつきながら二人で肩を寄せ合って明日の予定を立てる。

「明日のオフどうすんだー?」

「何にもないし、家でのんびりしようよ」

「そうだなぁ、お前がそういうなら家にいるかー」

明日の予定は家でだらだらすることに決まったようです。


こんにちは、奏多です。

デビューライブから2年が経って、いろいろ変わることもありましたけど毎日楽しく生きてます。

約2年前のデビューライブは大成功を納めました。

陽多もといサフィーのウィンクで観客の男性陣が鼻血を吹き、私もといルーの流し目投げキスで女性陣が失神していく様はもはや『DEVIL ANGEL』の伝説にまでなっています。

今ではサフィー様、ルー様なんて呼ばれちゃってます。

仕事も歌だけじゃないんですよ。

ドラマに舞台、香水やアクセサリーのイメージモデルなどなど、たくさんの仕事を広く若干浅めにやっていたりします。

中でも一番真剣に取り組んでいるのはやっぱり歌です。

チケットは発売5分で即完売でアリーナ席なんかはプレミアがついちゃうらしい。(友人談)

いろいろな仕事やってても本業はアイドルですからね、なんだかんだ言って歌を歌っている時が一番楽しいんですよね。


二年間で変わったことがあるか、ですか?             

私が"ルー"で居る時は自分のことを〈僕〉って呼ぶようになったことですかね。

あと常に紳士的に振る舞うようにしていることの他は通常運転です。

変わったといえば兄 陽多が可愛くなくなったことです!

ついこの間まで奏多奏多って後ろを着いてきてたのに、今じゃお前は俺の後ろにいろよとか言ってくるし!

なんか悔しいじゃないですか、自分ばかり格好良くなちゃって。

でも言葉遣いは乱暴でも、頭を撫でてくれるとことか…

実は優しいとこが大好きでたまりませんよ!

兄自慢大会になりそうな予感。自慢大会なら優勝できる気がしますね、余裕ですよ。

っと話がそれまくってますね、軌道修正。

そういえば分かりやすく見た目で変わったことが一つだけありました。

それは陽多の身長が伸び始めたことです。

今まではまったく同じ身長、むしろ私の方が少しだけ高いくらいだったのに。

どんどん大きく育っちゃって今では私がシークレットブーツなんか履いて背を誤魔化しています。

双子だからできるだけ同じ身長が良いという社長命令です。

なんだか虚しい…


とまあそんなこんなでトップアイドルの仲間入り?をしちゃってます!



「なぁー、奏多」

「んー、何?」

「なんでもない」

本を読みながらの空返事でも今日の陽多はなんだかゴキゲンだ。

返事をしただけなのに何故か満足そうに微笑んで、私のすぐそばに寄り添ってる。

頭を摺り寄せてくる様はまるで猫のようだ。

久々の一日オフだからかなーと思っていると携帯が鳴った。

どうやら私と陽多、両方にメールが来たらしい。


今すぐマッハで事務所まで来られたし。 by社長


久々のオフはこのメールで終わりを告げたようだ。

「チッ」

隣でメールを読んだらしい陽多は忌々しそうに舌打ちをしている。

「俺の奏多との時間を邪魔しやがって、ぜってぇ許さねえ」

陽多は休みを邪魔されたことに大層ご立腹みたいだ。

あの奇天烈怪奇な社長には文句を言うだけ無駄だというものを。

今度はどんな突拍子もないことを言われるんだろうか、と今から不安でしかない。

支度を終えて玄関に行くと陽多が不満そうな顔で待っていた。

「…あのヤロウがいきなり呼び出す時はろくな事じゃない…」

とまだぶつぶつ言ってたけど聞こえないことにしようと思う。

「まぁ二人で出かけると思えばまだマシか…」

陽多は何かを結論付けたようにうなずくと、おもむろに手を差し出してきた。

陽多は手をつなぐのが好きらしい、しょっちゅう手を差し出してくる。

手をつなぐことが当然のように。

私は慣れた手つきで陽多の手を取ると歩き出す。

社長の話が大したことじゃありませんように、と祈りながら。


そして私の不安が的中したのはいうまでもない。


話を聞いて後悔したのはそれから1時間後のことだった…







ラフィーは天使ラファエルから、ルーは堕天使で悪魔のルシファーからとってみました。


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