となりの席の彼氏と彼女 前編
となりの席の彼氏と彼女 女の子が泣いている。
可愛らしい目から溢れ出した涙を男の子が拭う。
男の子は女の子に誓った。
「僕は、」
鳥の鳴く声が聞こえる。
「朝か…少年はベッドから起き上がり、身支度をする。「早く、迎えに行かないとな。」
隣にある家ーというか、明らかに豪邸なのだがーのインターフォンを押す。荘厳な門が開くと中から自転車に乗った美少女が現れた。少女は自転車から降りると、少年の隣に立った。
「おはよー」
その瞬間、どこからか、「おいのち頂戴!」と叫びながら襲ってくる男共を、少女に髪の毛一本たりとも触れさせずに伸して登校するのが彼らの日常である。
「おかしいだろう!」そう叫んだのは少年ー天野陽向ーの友人であり、陽向の隣の席でもある遠藤雅志である。
「何で一介の高校生がそんな見るからに暗殺者なやつを伸せるんだよ!お命頂戴って時代劇か!?しかも、日常!?日常なのそれ!?」
「そうだが…問題でも?」陽向は少女ー八王子遥ーの頭を撫でながら、そう言った。
「問題ありまくりよ!」
そう言ったのは、雅志の彼女であり遥の隣の席でもある、橋本由衣である。
「はあ…もういいわ。慣れたから。それにし
ても、財閥のお嬢様とその婚約者殿は大変ね。」
「そうでもないよー。結構、楽しいよー?」
「そんなこと言えるのは、世界中を探しても遥ぐらいよ。きっと。しかも、相変わらず顔と言動のギャップが凄いし。無表情でそう言われても説得力無いわよ?」
「でもー、これが私の普通だしー。」
のほほんと言われて呆れる由衣。これは、彼らのいつも風景である。
「しっかし、最近多いな。襲われるの。」
遥は、一流財閥の令嬢である。見た目はクールな才色兼備な美少女だが、中身は全然違う。お嬢様なのでいざというときは頼りになるが、普段は天然でおっとりとした少女だ。して陽向は遥の婚約者にしてボディガード。見た目はどこにでもいるような少年だが、家事から会社経営に護衛、はたまたロケットの運転までできるスーパー少年である。人は見かけによらないを、体現している二人だ。これに対して、由衣と雅志はいたって普通の一般人である。少しばかり、適応力が高いが。ちなみに二人は付き合っている。
「この前、遥にしつこく求婚してきたやつを断ってから増えたから、そいつだろう。既成事実でもつくろうとしてるんじゃないか?」
「無謀だな、そいつ。逆に哀れだ。」
「敵に情けは無用よ、雅志。」
「俺はお前にもギャップを感じるぞ!言ってることが怖い!喋らなかったら、人形でも持ってそうなのに。」
「これくらいで大袈裟ね。雅志も黙ってたら、なかなかのイケメンなのに。言動で台無しよ?何でこんなにヘタレなのかしら…。」
「うるさい!俺はヘタレじゃねー!」
「ヘタレじゃないのー?」
グサッ 「純粋な目でそんな残酷な質問をしないでくれ!」
「ヘタレは放っといて、授業の準備もしないとね。」
「そうだな。」
「陽向!お前もか!そして俺を無視するなー!!」
これが四人のいつもの光景である。
神無月です。小説を書くのは初めてなので、未熟ですが、よろしくお願いします! 気まぐれでなかなか忙しいので、あまり早く更新できませんが長い目で見てくださると嬉しいです!一応三話ぐらいを予定しています。増えるかもですが…。