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お題『リモコン』

 一年前──

「ああ、それでなんですか? 早田のヤツただでさえいつもうるさいのに」

「単純っていうかさ~、ほんとあいつ馬鹿だよね」


「おはよう……って、なぁに、どうかした?」

「おはよ。ね、恵子さ、昨日言ってたあれ、好きな男のタイプってやつ」

「? 挨拶が明るくて元気がいい人がいいって言ったじゃない、どうして?」

「きゃーー、ほんとだ、やだ~~」

「???」

「ね、先輩ほかには? 挨拶以外にもなにかありません?」

「えっと……それは好きなタイプってこと? ──そうね、ちゃんと『いただきます』をいう人や、食堂の人に『ごちそうさま』っていってる人は、いいなあって思うけど」

「あれ……なんか具体的?」

「やだ、そんなことないわよ。ちょっと思いついただけ」



 半年前──

「え、それから全然? だって経理が何度言っても直らなかったんですよね?」

「それがさ~恵子は約束を守る人が好きみたいよって教えたら、一発。請求書も領収書もしっかり期日通りだって」

「なら初めから恵子先輩に言ってもらったらよかったじゃないですか~」

「いやあ、こういうのって直接じゃないから効き目あるんじゃない?」



 半月前──

「本当、すっごい変わりましたよね。スーツの趣味よくなったし、話し方も丁寧になったし」

「早田のこと誠実で好青年だって、あそこの社長すっごく人の好き嫌い激しいのに、誰かのことあんなに褒めるのなんて初めて聞いたよ」

「仕事できるようになると自信つくんですかねー、最近、ちょっとだけカッコいいかも……なんて」

「あ、分かる。笑顔でおはようとか言われると、後輩のくせにちょっとぐっとくる時あるわ」



 昨日──

「じゃあ、恵子先輩は告白されるのと、自分から告白するのだったらどっちがいいんですか?」


 内心のにやつきが顔に出るのを抑えられないままで、後輩の女の子が問いかけてくる。


「どうして?」

「え~だって気になりますよ。やっぱり告白って相手からしてほしいですよね?」

「あら、そうとも限らないわよ」


 わたしがそう言うと、周囲がええ~と不満そうな声をあげる。

 分かってる。みんなが何を言わせたいかなんて。

 だけど、それだけは言わないってずっと前から決めてるの。だってそうでしょ?


「本当に好きで我慢できなくなったら、自分から言ったって構わないと思うわ。だって大事なことだもの、自分のタイミングで伝えたいなって思う」





 そして今日。

「ごめんね、待たせちゃって」

「あ、いえ僕の方からお願いしたことですから。──今日は、先輩にお話ししたいことがあって……」

「うん、私もね、ずっと早田君に言いたいことがあったんだ」

二回連続で遅刻したので、時間厳守を意識してみたもの。

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