表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/106

久しぶりの休息②

 ここで隠れ住むにしても、頭の痛い問題がたくさん横たわっている。

 それは “生活” だ。

 中でも、食料の調達が一番の難問。


「畑があるみたいだけど、今から作物を植えるわけにはいかないし。そもそも私は農作業なんて、したこともないし」


 大きなため息をつく私に、ルークが笑った。


「心配するな。当面は金で解決する」


「お金?」


「金を払って、食料を分けてもらうのさ」


「あなたって、いつも気前よくお金を払ってるわね。お金持ちなの?」


 私は、冗談ぽく尋ねた。


「ああ、そうさ」


 意外にも、ルークは真顔で簡潔に答える。


「両親の遺産があるのさ」


「まぁ!」


「思えば、貴族がそうやって富を独占していたのが、隣国の革命の発端かもしれんな。……しかし、両親のおかげで、あなたと天国暮らしが出来るんなら、俺は何も言えない」


 ルークは、私の額に軽くキスした。


「さあ、おいしい朝食をいただこう。隣の人が、産みたての卵と搾りたての牛乳を、気前よく分けてくれたんだ」


 私は、テーブルの上に並んでいる朝食に目を見張る。


「あなたって、本当に何でも器用に出来る人だわ! それに引き換え、私は無能ね」


「女優の才能があるじゃないか! そもそも、あなたの存在が、俺にとって宝物なんだよ。無能だなんて、つまらないことを言うんじゃない」


 『存在が宝物』

 そんなことを言ってくれるのは、両親とルークだけだろう。


「ありがとう。私にとっても、あなたの存在が、かけがえのない宝物だわ。お父様とお母様が、あなたのことを知ったら喜んでくれる気がする。……でも、今の私は犯罪者の疑いをかけられている。どうしたらいいの」


「公爵ご夫妻のことだが」


「なあに?」


「あなたのご両親は、静養先から連れ戻されて、ご自宅で軟禁状態らしい。昨日、王都で聞いてきた」


「何ですって?」


「さすがに、何の罪も犯していないご夫妻を、酷い目に合わせるわけにはいかないから、ずっと閉じ込めて監視するだけだと思うが」


「何もしていないのは私もだけれど、お父様とお母様こそ、全く何の関係もないじゃない!」


「一族郎党全員、罪に問われることもあるくらいだからな。今後、塔送りにするつもりかもしれない」


 塔ですって? 私は目の前が暗くなった気がして、実際、体がふらついた。

 ルークが素早く私の手を掴んでくれなかったら、実際に倒れていたかもしれない。


「大丈夫だ。我々には、一座の皆やおやっさんといった味方がいる。それに、新たな頼もしい味方も見つかったことだし」


「新たな味方?」


「騎士団長さ」


「グランドマスター?」


「俺たちを逃がしてくれただろう? おやっさんに頼んで、こっそり連絡を取ってみる」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ