表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/106

大変なことが……!

「伯爵様!」


 ルークが慌てて伯爵を助け起こそうとした、その時。

 今度は、シシィがテーブルに突っ伏した。


「きゃあ! シシィ!」


「アナベル……。どうしたのかしら、私」


 シシィはそれだけ言って、気を失った。


「シシィ、しっかりして!」


 驚き慌て、おろおろするしかない私に、伯爵の傍でしゃがみ込んでいたルークが、大声で呼びかけてきた。


「アナベル、あなたは大丈夫か?」


「ええ、私はなんとも」


 答えかけて、私は彼の顔色も悪いのに気づいた。なんだかわからないが、大変なことが起きている。

 私は席から立ち上がり、ふたりのそばに近づいた。


「ルーク! あなたこそ大丈夫? とにかく、誰か呼んでくるわ!」


 その時になって、ミリーは無事なのかと、私は気づいた。


「ミ…… お嬢様。大丈夫ですか?」


 振り向いた私が見たのは、微笑みを浮かべ、仁王立ちしているミリーだった。


「ミリアムお嬢様?」


「アナベル、お久しぶりね。いえ、久しぶりじゃないわね」


 私は、大きく息を呑む。


「気づかないわけないでしょ。あなたと私の仲だもの」


「どういう?」


 私は、パニック状態に近かった。

 ミリーは、私の正体に気づいていた? いつから?

 ミリーの他にも、私が生きていることを知っている人はいるのか。

 でも、今はそれどころじゃない!


「後で話しましょう、どいて」


 私はミリーを押し除け、ダイニングルームから出ようとしたが、彼女はわざとらしく体を寄せてくる。

 そして、大きな悲鳴を上げ、(うずく)まった。


「ミリー?!」


「アナベル……あなた、何をしたの?」


「何? 私が?」


 混乱する私に、ミリーが苦しそうな息の下、ようやくといった様子で声を振り絞る。


「あなた、が。……毒でも、盛った、のでしょう?」


「何を言ってるの!」


「あなただけ、何故無事なの……」


 ミリーの言葉に、私は部屋を改めて見回した。


「ええっ!」


 テーブルには、シシィだけでなく、トラヴィス、ジュリアンも突っ伏している。

 床には、身じろぎもせず倒れている伯爵と、彼の傍で苦しそうに(あえ)いでいるルーク!


「どうかなさいましたか?」


 ダイニングルームの入口に、恐る恐る部屋の中を覗き込んでいる執事やメイドたちがいた。女性の金切り声が響き、私は我に帰った。


「違うの! 何故だかわからない、私じゃないわ!」


 執事とメイドたちは、早足で部屋に入って来て、倒れている伯爵や、一座の人を助け起こし始めた。

 その頃には、ルークも床にうつ伏せになってしまっていた。彼の背中は、大きく上下している。


「違うの、とはどういうことですか?」


 伯爵の傍に(ひざま)ずいている執事が、冷たい目をして私を見ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ