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新たな計画

 深夜遅くに、私たち一行はようやくグラン・ボヌール劇場に帰ってきた。


「みんな、お疲れさん。今回の興行については、また明日ゆっくり話そうぜ。今日はもう、くたくただ。解散」


 ルークは、言葉と裏腹に、疲れた表情も見せずに言った。

 トラヴィスが、にやにやしながら言う。


「お前さんが疲れてんのは、俺らと違う理由だろ」


 すると、その言葉を聞いた瞬間、ルークが真っ赤になって叫んだ。


「な、何が言いたい?!」


 トラヴィスは、きょとんとしている。


「慣れない地方興行の責任者だったんだ。俺らとは全然違う気疲れがあるだろう? ましてや、昨日は伯爵との二人きりでのお茶会にまで招かれてたんだし」


 シシィがわざとらしいため息をついて、「やれやれ」と呟いて、ルークに話しかけた。


「今まで、こんな色恋沙汰はなかったから、どうしたらいいかわかんない。……で、ルーク。今回は何も探ることは出来なかったけど、今後アナベルや私たちはどうしたらいいの? 復讐に向けての、いい台本書けてるの?」


「色恋沙汰だと?」


 事情を知らないトラヴィスは、バツが悪そうなルークに、大声で確認する。


「まさか。え? まさかアナベル嬢ちゃん?」


 頷くルークに、トラヴィスは追い打ちをかける。


「なんと! 公爵家令嬢に手を出すなんて畏れ多いことやっちまったのか!」


「ところで、さっきシシィが言ったことだが」


 ルークは、トラヴィスの問いを無視して咳払いした。


「また近いうちに、伯爵家の領館に招かれると思う。伯爵が、そんなことを言っていた。領館は、かなり広いマナーハウスだが、ミリーの部屋は把握した。 “復讐” と言えるほどじゃなくても、ミリーを怖がらせるのは簡単だと思う」


「怖がらせる? ですって?」


「絵が落ちてくるような仕掛けをするのは難しいが、アナベル自身が幽霊となって、ミリーを怖がらせるんだ」


「え?! 私自身が幽霊になる?」


「そうだ。やはりミリーを怖がらせて自白させるには、それしかない。大丈夫、あなたなら出来る。占い師、老女、なんでもやれているじゃないか」


「アナベル自身が現れたら、そりゃミリーは怖いでしょうけど。でも、幽霊のアナベルを見て、ミリーがあっさり自白すると思ってるの?」


「ミリーが自白するように、俺たちも協力するのさ」


「どうやって?」


「昼間、ミリーを反省させる芝居をやる。 “因果応報”ってやつを、ミリーに教えてやるのさ。そのための台本を大急ぎで仕上げるから、出来上がったらすぐ練習だ」


 シシィもトラヴィスも納得したように頷いて、その場は解散となった。

 その後、夜も更けてから、私の部屋の扉をノックする音がする。

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