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運命の一夜

 ルークの唇と指は、私の体の隅々まで探りを入れてくる。その都度、私の体は反応し、声が出そうになる。

 両手で口元を押さえて、声を出すのを必死にこらえていると、ルークが私の耳元で囁いてきた。


「声を出してくれ」


「ルーク」


 普通に名前を呼んだだけなのに、切なそうな声が出てしまい、私自身がびっくりしてしまった。


「ああ、アナベル!」


 ルークも切なそうに私の名前を呼んでくる。その声を聞いていると、私の胸は甘く疼いた。

 やがて私は、自分でも信じられないほどの気分の高揚に戸惑うことになった。


 ルークにしっかりと抱きしめられていると、嬉しさや幸福感でいっぱいだ。

 彼は、私の艶のない髪やあざなど気にせず、愛撫し続けてくれている。


「愛している。アナベル、愛してるんだ」と囁きながら。


(本当に愛されているのかもしれない)


 両親と同じくらい、いいえ。もしかしたら、それ以上の愛を持って接してくれているとまで思ってしまう。


 翌朝、目覚めた私は、ベッドの上でしばらく呆然としていた。

 昨日のことは夢じゃない。

 私の横で、心地良さそうな寝息を立てている男がいる。そして、それは紛れもなくルーク。


 私は体を起こし、そろそろとベッドを降りた。

 分厚いカーテンを少しずらして、太陽の光を浴びる。

 振り向くと、ベッドの中で、うつ伏せに眠っているルークの顔が目に入ってきた。


 栗色の髪、彫刻家が丹念に作業して造ったような綺麗な鼻、厚めの下唇。

 胸が締めつけられる思いがする。

 ルークから目を離し、再び窓の外を眺めた。


(私は、なんてことをしてしまったのだろう)


 後悔はない。しかし、私はいずれ公爵家に戻るつもりなのだ。

 その時、私は彼と離れて生きていけるだろうか?


「アナベル」


 ルークの声がして、不意に後ろから抱きすくめられた。


「ルーク!」


「アナベル、あなたが俺を受け入れてくれたなんて信じられない。まだ夢の中にいるみたいだ」


「ルーク、そろそろ用意しなくては!」


「わかってる。でも、昨日のことが夢じゃないって信じさせてほしい」


 その時、ノックの音がして、私たちは飛び跳ねるようにして体を離す。

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