ルークの熱い告白
夕食と話し合いを終えて、部屋に帰ろうとしたとき、ルークに引き止められた。
「アナベル、もう少し付き合ってくれないか?」
「ルーク、まだ飲むつもり?」
「明日も早いのよ。もうおよしなさい」
シシィが横から口添えしてくれるが、ルークは私の腕をしっかりと掴んで離さない。
「わかったわ、ルーク。もう一杯だけね」
「やれやれ。アナベルの言う通り、あと一杯だけにしておきなさいよ! 私たちはもう寝るわ」
シシィたちが台所から出て行ったあと、ルークはワインを注いだグラスをじっと見ている。
「ルーク、飲まないの?」
「アナベル、聞きたいことがある」
「聞きたいこと?」
「あなたは、まだ王太子のことが好きなのか?」
「突然、何を言い出すの」
「俺は、今日あなたを見ていてわかったよ。あなたは、まだ王太子のことが好きなんだなって」
「それは……」
彼は何を言いたいのか。私が、まだ王太子様を好きだとしても、どうなるものでもないというのに。
私は、思っていることそのまま、素直に返事した。
「そうね。全然好きじゃない、って言ったら嘘になるわ。生まれた時からの婚約者だもの。こんなことになるまで、私は王太子様と仲良く過ごしてきたつもりだったし」
「あんな裏切りに遭っても?」
私はうなだれた。色々考えていると、悔しくてたまらなくなった。
「俺なら、あなたを裏切ったりしない」
ルークが突然手を伸ばしてきて、あっという間に抱きすくめられた。
「アナベル、初めて会った時からずっと、あなたのことが好きなんだ」
「ルーク?」
ルークは、私を抱く手に力を込めてくる。
「好きだ、好きなんだ」
私はすっかり混乱して、されるがままだった。
やがて彼の手は、私の背中から胸のほうに移動してきた。びっくりした私は、彼から離れようともがいたが、彼の腕はびくともしない。
「ルーク!」
彼は熱に浮かされたように、何度も私の名を呼んで、くちづけてきた。
次第に、私も抵抗する気がなくなってきた。
(どうしたの、アナベル! しっかりしないと!)
我に帰り、叫んだ。
「ルーク! 私の顔を見て。この醜い青あざを!」
私の体を撫でていたルークの手が止まった。彼は暗い瞳で私を見る。
「アナベル」
その隙に、私は彼の胸を押して素早く彼から離れ、部屋から飛び出した。
自分の部屋に戻って、内側からしっかりと鍵を掛ける。
ドアにもたれて呼吸を整えながら、しばらく外の様子を伺った。
部屋の外は、しんとして、ルークが追ってくる気配はない。
(ほら、ご覧なさい! ルークだって、私の顔を見たら正気に戻ったわ! )
私の顔、そんなにも醜いのか……?
私はよろめきながら、ドレッサーの鏡を見た。
お酒のせいか、興奮したせいか、あざはいつもより濃く青黒く浮かび上がっていた。
私はそのままベッドに倒れ込み、泣いてしまった。




