私は復讐したい
「ねえ、ルーク。どう思う? ミリーが首謀者と見て間違いないわよね?」
「協力者はいるだろうな。多分、毒薬の入手先が、ミリーのお仲間だ」
「お医者様が仰ってたわよね。昔、私と同じ症例を見たことがあると。つまり、昔からそういう類の毒薬はあった。簡単に手に入らないものだろうけど、だからこそ逆に、毒薬の入手先は、意外と突き止めやすいとか?」
「ただ、ひとつ疑問がある」
「なに?」
「ミリーは、王太子の側妃になるだけではダメだったのか? 国王陛下も貴族も、側妃を持つことは禁止されていない。子供が産まれれば、正妃より権力を持つ側妃もいるくらいだ」
「それは、そうなんだけど」
でも、気持ちのよいことではない。
他の女性と、一人の男性を共有するなんて私は嫌だ。
ミリーも、王太子様を独り占めしたかったんじゃないかしら。
「そんな理由だけで、親友を消そうとするか?」
「そんな理由って。女性にとっては、充分な動機かもしれなくてよ」
「アナベル、恋人に、自分以外の女がいたら嫌か?」
「当たり前じゃない!」
しかし、本当に、そうだろうか。
仮に、まだ私が王太子様の婚約者だったとして、ミリーや他の誰かが側妃になったら、本当に私は嫌だろうか?
「アナベル」
「ルーク」
私たちは、同時にお互いの名を呼んだ。顔を見合わせ、思わず吹き出す。
「何? あなたからどうぞ」
「明日からしばらく、堂々と王宮に出入りできる。王侯貴族はもちろん、王宮で働く人たちに探りを入れて、王太子とミリーがいつからデキてたのか、胡散臭い薬師はいないか、調べるチャンスだと思わないか?」
「毒薬の出どころや、二人がいつから私を裏切っていたのか、正直そんなことどうでもいいの」
ルークは、怪訝な顔をした。
「本当にミリーが私を殺そうとした犯人なのか、動機は何なのか。それが分かればいいの」
「で、突き止めて、その後はどうしたいんだ?」
「復讐したいの。同じ目に遭わせてやりたい……。そうね、恐怖を与えて反省させたい。手伝ってくれるわね?」
「もちろん!」
「ここで学んだ女優としての技術を使い、王宮に入り込んで、じわじわと犯人を追い詰めてやる」
「なるほど。一座をあげて、できる限り協力するよ」
「ありがとう」




