ミリアム
その日の午後からは、王宮での新年祝賀パーティーに参加した。私は、さっきの男性の言葉を思い出すとむかむかして、純粋にパーティを楽しめなかった。大好きなワインも、いつもほど美味しく感じられない。
ふと、視線を感じて顔を上げると、視線の主は親友のミリアムだった。いつになく、鋭い目つきで。
「ミリー!」
私の呼びかけに、ミリアムが近づいてきた。
「アナベル、どうしたの? 今日はご機嫌斜めみたいね」
彼女の顔からは、さっきまでの険しい表情は消え、いつもの優しい微笑みが浮かんでいる。
「ああ、ミリー。聞いてよ、今朝すごく頭に来ることがあったの!」
「なあに? あ、その前に。おかわりどうぞ」
ミリアムは、私にロゼワインを渡してくれた。
「ありがとう」
私はピンク色の美しい飲み物を受け取り、少し舌を湿した。それから、彼女に今朝の出来事を話し始めた。
「その男の人は、どういうつもりで言ったのかしら? もしかして、あなたの気を惹きたくて意地悪を言ったのかもよ」
「そんな子供みたいな真似を?」
私は笑って、ぐいっとワインを飲み干した。
「……単に、見たままの感想を言ったのかもね」
「え?」
ミリアムの低い声に、思わず彼女の顔を見る。
何ですって? 冗談かしら?
「ミリー。私って、そんなキツい顔立ちしてる?」
「さあ? どうかしら」
ミリアムは俯いて、含み笑いしている。
今日の彼女はなんだか変だ。いつもと違う。
しかし、変なのは私かもしれない。お酒は強いはずなのに、悪酔いしたように眩暈がして、吐き気もする。
「アナベル? どうしたの? 顔色が真っ青よ」
言葉とは裏腹に、ミリーは心配している様子ではない。淡々と喋っている。
「どうしたのかしら? 私、わーー」
次の瞬間、私は意識が飛ぶのを感じた。




