渇き
雲一つ無い晴天の日。
ボートで湖畔に漕ぎ出す。
水は水底が透き通って見えるくらい、無色透明。
暫く漕ぐと水底から滾々と水が湧き出ているのが見えた。
天にて生まれた水滴が、大地に降り注ぎ染み込む。
染み込んだ水は、大地のエネルギーをその懐に漲らせ、大地から湧き出してくる。
水は空から降り注ぐ光に手を伸ばすように、砂を掻き分け掻き分け湧き出す。
水の中に飛び込み水が湧き出る場所まで潜る。
湧き出す水を暫く眺め、飲む。
胃に腸に心臓に肺に血管に、染み渡るまで飲む。
身体の隅々に届くまで、飲む、飲む、飲む。
渇き切った肉体が満たされるまで飲む。