58. SUPER BOY3 UNDO
「つまりさ。今日の謁見式はボクの作った魔導アンドゥ・ロイドがみんなの仲間になったよ、というお披露目だったんだよ。生命体だかどうかなんてわざわざ説明する必要はないし、吸魔石のことはトップ・シークレットだから公言できないし。でもみんなにロイドのことは仲間だし守るべき存在だって認識してもらわなきゃいけないからね」
大魔王より発言が禁止された魔導アンドゥ・ロイドはお口チャック。
やっと話ができる、とため息が漏れる大魔王様。
「ほう。随分とめかしこんで所作も気をはっておったようだがな」
皮肉気な表情で大魔王がジュディアーナにクレームをつける。
結局はいつも通りだろう。
マッド・ジュディは研究に関することに必ずイタズラ心を混ぜ込んでくる。
今回は「いかにも」な謁見式でありながら「実は」である。
あの場にいた全員がジュディの研究所に新しく研究員の少年が入ったと思い込まされた。だがジュディはそんなことは一言も言っていない。
だまされたのではなく化かされたのだ。
「壮大なる実験の一部だけどお披露目だからね?彼の機能の有用性も確認したかったから軽くあおってみたり」
「それがジルベストか。わざと怪しくみせておいてジルに突っかからせたのだな?」
「まあそんなところ。あいつ年寄りのくせに短気だし「それなり」には力持ってるし。試すのにはちょうどいいくらいのね」
所詮ボクの手のひらのうちなんだよ、ホント大したことないんだからあのジイさん、と付け加えるのも忘れない。
「でも幹部連中のサジ加減がむずかしくなってきたよね。あのジイさんだけ挑発してやろうとしてるのに、アンジェリカちゃんも悪魔もいるから気づかせないように気を遣っちゃったし。まだレベルが違うからいいけど、このまんま二人が力をつけてきたらジジイなんてあっさり抜かれちゃうんじゃないかな」
大魔王の口角が2ミリあがった。
相変わらず自分の部下が褒められると嬉しい。
「とくにアンジェリカちゃんは思い込みが・・いやいや、一途だからね。さじ加減を間違えるとボクでも平気で殺しにくるし。一体誰のせいだかね」
R「ね」
・・・アンドゥ・ロイドよ、今口を出したであろう?
大魔王が振り向いても少年ロイドは「え?偶然ノドから出た音が同意の意味に聞こえました?なんか誤解しました?コホンケホン」知らんぷりで顔をそむける。もちろんアンドロイドな彼がムせるわけはない。
マッド・ジュディから鋼の心臓まで移植されているのだ。
「吸魔石は魔王国の防衛システムの中核だからね。簡単に破壊も強奪もされるわけにはいかないのはわかるだろう?」
「ふむ。それは当然であるな」
「しかも防衛システムを起動させるときって大魔王に頼れないときだよね?大魔王が不在とか出撃中とか。」
「そうなるな。悪魔王か神軍あたりになろう。同時に複数で来られるとやっかいだ」
「そうなると仕組みの中核となる吸魔石を守らなきゃだよね?奪われて敵に利用されたらヤバイもの。でも大魔王が大忙しときにそんなことしてる場合じゃない」
「理屈は通る。それで?」
「じゃあ話は簡単だ。吸魔石が自分で自分を守ればいいんだよ。なにせ吸魔石本体なんだから魔力は十全に詰まってる。あとはその魔力で自分を守れればいい。自分で考えて自分で動く、そんな彼の思考の基礎となる魔王国最強の魔術遣いといえば決まってるよね!」
堂々と自分を指さすジュディアーナ。別にジルベストでもよいのでは、いやむしろ己や周囲を守る程度の話であればジルベストの方が適任なのでは、とつっこむものはいない。
ひとつの質問は解消したが、もうひとつの疑問点はまだである。
「ところで先ほどこのロイドが使ったのは時空魔法だな?わずかに時を巻き戻しておった」
謁見式でのできごと。
ジュディアーナの符号式暗号はジルベストに読み取られる予定ではなかったのだ。
それっぽくからかって突っかかってきたジルベストをケムにまいてビックリさせる予定だったのに。
巻き戻さずにあのまま進んだ未来で符号暗号を全て読み取ったジルベストが
「きさま大魔王様の謁見式でゴーレムを紹介しておるのか!」と騒ぎ立てさえしなければ。
下手にゴーレムと誤解されて大騒ぎになっても困るジュディアーナ。ロイドの右手に埋め込んだ時空魔法の生体魔導陣を起動させたのだ。
時空魔法は複雑な術式構築と大量の魔力が必要となる。
ジュディアーナの魔力をもってすら移動できる時空はほんのちょっぴり。20秒も遡ることができない。
ひとつ発言の「前に戻す」程度でしかない。
そのくせ使用して世界の因果がかわろうものなら神軍が大挙として押し寄せてくる。
死の直前に巻き戻して回復なんてアウト。死という因果をひっくり返したから。
だから誰も手を出さない。出す理由がない。
せいぜいが「ちょっとしたイタズラできるくらい」な魔法。
でも世の中にはいるのだ。誰にも見向きもされない、誰も使わないこの魔法の虜になる「イタズラ心」の持ち主が。
「ゴーレムとカテゴライズしたことは詫びねばならぬようだな。そんなレベルのものではない、派生し進化した半生命体だといって過言ではないだろう。名は魔導アンドロイドでよいのか?」
「うーん、ちょっと違う。魔導アンドゥ・ロイドさ」
やっと大魔王から解放されたジュディアーナ。
フラフラとついてくるロイドのお披露目は成功といってよいところ。
「2回も時を巻き戻しちゃったから吸魔石の魔力がカツカツなんだよね。ガストンくんは更にはりきってもらわないと」
助手のミッシェルに笑いかけるジュディアーナ、その目はいたずらっ子特有の怪しい輝きで満ちている。もちろんミッシェルも。
「彼なら大丈夫ですよ?今日からはすべての魔力を吸い取って一度死んでもらいましょうか。ロイドくんに指先分だけ魔力を返してもらえば完全に魔力をカラにできますし。一度魂魄があっちの世界にいっちゃうかもしれませんが戻ってくればパワーアップは定石ですからね!」
「え?あっちの世界の扉抜けちゃわない?」
「その直前くらいで、足は入っちゃったけどまだ地面に着いてないくらいで!もし足が着て死亡認定されちゃったらロイドくんに死ぬ直前まで”やり直して”もらえばいいだけですから!」
「そりゃそうか!それで天使が出張ってきたらガストンくんが自分の蘇りをかけてぶん殴ればいい!!命をかけた修行なんて燃えるよね!!」
ガストンの人気は今日もストップ高。
大魔王様をはじめ魔王国の強者みんなに目をかけられる成長株。
もちろんマッド・ジュディも彼の成長を願う気持ちは同じなのだ、やり方がマッドなだけで。。。きっとそうなのだ。
「大魔王様」いきなりですが週中更新しました。
ポイントいただいた方がいらしたのでつい。。。「大魔王様」お二人目ありがとうございます。明後日も通常通り更新します
そして明日夜は「珍道中」臨時で更新です。昨日から珍道中-大魔王様-珍道中-大魔王様で週末まで4日連続で交互更新なってますお楽しみいただければ。
お読みになったかたよろしければ評価いただけますとモチベあがって今回みたいに何かしでかすかもです。評価してもいいかな作品が掲載できた際にはぜひぜひお待ちしてます




