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大魔王様ついてきます! ~ 最強の部下は大変なのです ~  作者: 水砲


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50. 極秘ミッションの始まり

ズボボボボボッ!!


「く、くぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」


今日も情けなく叫んでしまった!


何をしてるかって?

何もしていない。

ただ座っているだけだ。


あの白い悪魔の椅子に。

ただ座って踏ん張って耐えているだけだ、尻に力を込めて耐え続けているだけだ!


俺の中からものすごい勢いで魔力を引き抜いていくこの悪魔の所業。

すべてが抜き取られる寸前になると死神が全力疾走で走って向かってくることを初めて知った。


ここは深夜の魔王城。

今日も(ガストン)は大魔王様から受けた特命で夜間任務にあたる。


「も、もういいのでは!!」

「マダマダだよ!まだいけるよ!!」


深夜に実験体となり朝日で自分の部屋に戻る。めっきり夜型魔人の今日この頃。


「も・・・う・・・だ・・・め・・・」

「よし、今日はここまで!!」

魔力激減で頭のブレーカーが落ちる寸前まで追い詰められると仕事が半分終わる。


白衣を着た研究者に両脇をかかえら椅子から降ろされる。

頭がガンガン痛み手足震えは止まらない。

立つこともできずに四つん這いで身を縮める情けない恰好。生まれたての子馬でもすぐに立ち上がろうとするのに体が拒む。


いやだ、もう限界だ!


大魔王様のお望みならいつでもこの身を捧げるがこの人体実験は違う。

それにきっと大魔王様はこの状況を知らない。


「ジュ、ジュディアーナ様?」


息も絶え絶えこの実験の責任者に声をかける。


「ジュディ」

俺の上司はこちらを振り向きもせず今日の実験結果をボードに書き込む作業に夢中だ。見向きもせずに名前の呼び方を指定してくる。


「ジュディ様・・・」

「ジュディ」

呼び捨てて呼べという命令だ。だが俺の常識としてそんな失礼な呼び方をすれば罰を受けるものだというのに。


「ジュ、ジュデ・・・あ姉御!」

「なんだい?ガストン」


やっと返事をくれたこのお方はとにかく畏まった呼び方が嫌い。

ジュディアーナ様は古の大魔王パーティのメンバーで様々な大魔法を編み出した古の大魔術師。そして科学庁の長官だ。俺のような一兵卒に毛が生えた程度の副官が呼び捨てすることは有り得ない。

こんな状況を知らない幹部に聞かれたら物理で俺のクビが飛んでいく。


死にたくない俺が返事をもらうのに1週間もかかった。つまりたった今だ。

俺の中で最近「姉御」が増殖しているのは気のせいにして心の棚にしまっておく。


夜勤になって1週間たっても慣れる気配はゼロ。

「この実験はいつまで続くんで・・・だ?」

言葉遣いも慣れない。これでも上っ面だけは礼儀正しい副官なのだから。


だが聞かずにはいられなかった。いつまで続くかわかるだけでも耐えられる。終わりのみえない苦行は魂の牢獄だろう。。


「うーん」

ガチャガチャと計測機器をチェックしジュディ女史は頭をひねった。


「わからないとしか言えないね。少なくともあと1か月や2カ月では終われないかな」

実験結果の検証に忙しいらしい。こちらを振り向く隙も無く悪魔椅子のチェックが続く。

テキパキと処理を続けるジュデイアーナ様いや間違った姉御にため息しかでない。


「ムッシュ・ガストン。次はコチラへお願いします」

立ち上がると案内役の紳士が現れるのもいつものこと。

「ムッシュ・ハワード、お手柔らかに・・・」


現れたのは礼装に身を包みステッキを打ち鳴らすダンディな細マッチョのハワード。

ガストンが初めて夜の王宮へと出廷したときに案内してくれた彼である。


満月が教習場を照らすとニンマリ笑う牙がそこかしこでギラリと光った。

夜の魔都を守る守護長官ハワードは吸血鬼だ。

満月の夜は特に機嫌がいい。


暗い影がいくつも立ち上がってその姿を現す。

豹、虎、猫、・・・半獣半魔人の獣人たちがそれぞれに大剣や戦斧、ナイフやこん棒を持って近づいてくる。

二足で歩き獣人の固い体毛で覆れる体。鋭い牙や爪は武器など持たずとも敵を一撃で屠ってしまいそうだ。

そして月明かりにキラリと輝く瞳は闇の中でも何ら困らない視界を確保している証。

間違いなく夜ひとりで遭遇したくない集団だ。


「皆さん!今日も魔王軍ベノン団長の愛弟子であるガストン副官が皆さんの稽古を手伝ってくれますよ!

あなた達より遥かに格上の存在でございますから!死ぬ気でやらないと不興を買って塵にされますのでご注意ください!!

さあお始めなさい!!!」

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