26. 地獄の修行 1
「大魔王様。ワシの方に来客ですじゃ」
セイサン山脈の竜王宮にいる竜王から念話が届く。
予定通りの頃合い。
「もてなしのほど宜しく頼む。ワレも見させてもらうぞ」
「わざわざお声がけいただくまでもない。いつ何なりと」
独自スキルを発動。
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【大魔王ズ・アイ】
大魔王の固有スキル。忠誠心の高い配下が見ている景色を共有できる。距離は関係しない。忠誠度が高いほどクリアな視界を共有できる。忠誠がないものには効かない。
魔王国民の全ての瞳を大魔王の目とすることが可能だが、イロイロと見せてはいけないものを大魔王の視界に送り込む魔人たちが多いためそんな使い方をしたことはない。ためもちろん大魔王が私的に使うことは一切ないったらない。
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竜王の視界から見るとボロボロになった女悪魔が目に入った。
息も絶え絶えに竜王に謁見しているのも目の前の出来事のように見ることができる。
おそらく普段であれば豪華な装束をキリリと着こなす女傑と呼ぶべき存在。
いかにも洒落てスカした風情は魔王軍にいないタイプ。
間違いなくあれが悪魔軍総司令官のベールス・ゼブブに違いない。
残念なことに将軍たる豪華な衣装がボロボロでやや滑稽さもいなめが。。。
竜王の元へ訪れるには、魔法なしで氷山を登りガーディアンを打ち破るしかない。竜王国の結界はいまだ健在のようで何より。
「こちらに魔王軍団長のベノン殿がいらっしゃると伺いまして」
想定通り悪魔王も誘いに乗ったとみえる。
「わたくしは悪魔軍を率いる総司令官ベールス・ゼブブ。悪魔軍の代表と考えていただいてよろしいですわ」
もっと鼻もちならないタイプかと思っておったが自分の立場を考えて行動できるようだ。見事な身のこなしと口調。内から出る優雅さでオンボロな滑稽さを上書きしておる。
「ヤツも今こちらに向かって居る、もう着くころじゃろう・・・お、ちょうどよい」
ゴン、ゴン、と大きな音が広い謁見の魔に鳴り響く。
竜が出入りするほどの大きな扉をノックして現れたのは魔王軍団長ベノン。
その表情は晴れやかであり傷だらけの肉体には高まったオーラがほとばしる。
一皮むけて漢っぷりがあがったな。
さらにガストスまで続くとは魔王軍は確かに成長しておる。あっぱれなり我が右腕ベノン!
「前回よりだいぶん早い御着きですな、魔王軍団長ベノン殿」
竜王もまた志をともにする漢。
顔には出していないだろうが喜びが伝わってくる。竜王はワレとともに王道を歩む漢。魔王軍の成長を共に喜んでくれる同士の想いにワレの心もホット・カーペットの上で寝そべるがごとくポカポカと温まる。
「竜王様にはご健勝でなにより。それより接見の途中を邪魔したようですまない。一度俺達は退席した方がよろしかろう」
朗々と竜王に挨拶するベノンもボロボロではあるが、強い意思が体からあふれ出ている。
体中から発する魔力の輝き、強くたくましい表情はまさに魔王軍の軍団長にふさわしい。
「それには及ばぬよ。なにせこの御仁はベノン殿に会いに来られたようじゃしな」




