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大魔王様ついてきます! ~ 最強の部下は大変なのです ~  作者: 水砲


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24. 魔王軍の演習Ⅱ 2 (side:アンジェリカ)

こいつら本当にわかってねーのか・・!?


大魔王の秘書アンジェリカは驚きの表情も隠さずに呟いた。


目の前の演習場では勇者ベッチーと師団長ダンの模擬戦が繰り広げられている。


大魔王様に仕えることになった勇者が魔王軍の演習に参加するという。錆びた頭の宰相ジルベストに任せておけないアンジェリカは大王様に随行する許可を願い出た。


彼女から見た今代勇者は「あざとい」。

恐らく思考加速の魔法の結果だろう。見た目と思考の年齢が合っていない。ひとまわり年上の思考をする。

そのくせ幼女の見た目とブリっこ発言を最大限利用して周りを巻き込んでいく。

あれは無しだ頑張っている淑女の皆さんからしたら。


「なんだこの茶番は!?」


打ち合う勇者ベッチーと師団長ダン。

傍から見るといい勝負、に見えるのか?これが?


見ればみるほど沸々と怒りの感情が湧き溢れる。

自分が信じている大事なモノが虚仮こけにされる気持ちで怒りが膨れ上がり破裂しそう。


軍団長ベノン率いる世界最強軍団魔王軍。

そう思っていたのはどうやら妄想だったようだ。


演技にまんまと騙されている軍団員。

わかる側からすると滑稽極まりない。

まるで集団催眠だ、見事に勇者の術中に嵌ハマり続ける。


魔王軍団長ベノン、貴様の鍛えた軍団はこの程度だということが分かっているのか!?

私に求められた役割は秘書ではなく軍団長だったのではないか・・・?


勇者はキャアキャアと悲鳴を上げ、ダンの剣によろめき飛ばされる。


所々に差し込まれる「それでもわたしがんばる」アピール。


団員たちより格上のダンに必死で喰らい付いていく幼い子供、庇護欲を掻き立てるその仕草、言動!

頑丈だけが取り柄の模擬刀がたかがダン程度の斬撃で折れるなんてありえないだろうが!

しかも都合よく二人とも折れる訳あるかよ・・・気付けよおまえらも!!



「ワレは執務に戻る。後のことは任せる」


大魔王様のお言葉で自分を取り戻す。

しまった、怒りで我を忘れていた!!

大魔王様にお気遣い頂くなどアンジェリカ一生の不覚!!

首に刃を当てて掻き切ってしまいたいこの失態!!


「はっ、おまかせください」


あの勇者め、私に失態を・・・いやそれよりこの、オ・オ・バ・カ・どもめ、どうしてくれよう・・・!!


勇者ベッチーが団員達と楽しそうに話をしてから控えに下がった、見えなくなったその瞬間。

アンジェリカは客席からいっきに教習場へ飛び降ていた。


ドカン、と音がしてヒールの高さ分の鋭い穴が地面に穿たれる。

びっくりした団員達だが未だホンワカ空気も漂っている。

このアホアホ空気も腹立つんだよっ。


「あれ?アンジェリカの姉さん、どうしたんすか?」

「顔怖いっすよ、何かあったんすか?」


・・・


魔王軍は力が全て。


表のベノンと裏のアンジェリカ。

魔王軍でアタシの実力を疑うヤツはいない。

見たことがあるのは・・・恐怖のアンジェリカを目の当たりにした事があるのは一部の将校だけだ。

ダンのような。


「ダンっ!!」

私を見てコソコソと逃げ隠れする司令官を大声で呼びつける。


「は、はいいいい!!!!」


「あんた、わかってんだろうねっ」

私の顔が怖いかい?


ビクリと叱られた子犬のような顔をしてもダメさ。

私の前であれだけ手加減された失態。無かった事に出来るワケが無いわよねえ。

忘れちまったのかい?大魔王様から師団長の役を任されている重み。


我らに必要なのは強さ。

我らの役目は大魔王様を守ること。

そして我らに求められるは結果のみ。


「今から死ぬまで特訓だよ・・・・・」


フフフと笑う私、わかっていない団員。顔面が恐怖に凍り付くダン。


アタシが"死ぬまで"といったら死ぬまで。

キッチリ逝ってもらうからそのつもりで・・・ね?


さあ死ぬまで抜けられない地獄の特訓の始まりだよっ。

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