15. 魔王軍特訓中 1
魔王城にある大魔王執務室。
執務机の上には魔法ウィンドウが開き、未読の申請が大魔王様の認可を待ちわびている。
魔法具開発の追加予算申請と魔王軍の新人達の有給申請だ。
大魔王がひとさし指を数ミリも曲げるとカチリと音がして申請が認可される。
「大魔王様。魔王軍団長ベノンより申請書を預かっております。」
電子・・・もとい魔法申請が中心となった魔王国でペーパー申請とは久しい。
魔法申請を推進してきた魔法科学技庁の長官がまたヘソを曲げる。
「ほう竜王のところで特訓か。実施するのは暫くぶりだな。」
悪魔王に体よく遊ばれたベノン。
自尊心を傷つけられたか危機感を感じたか。
「己を磨く申し出をこの大魔王が却下する理由はない」
バシンッと承認の血印を押した書類は燃え上がりクズも残らず消えていく。
「・・・次からは魔法申請するように伝えておきます。」
血の滴る指先を怒りで見つめるアンジェリカ。
いつも冷静な秘書が台無しである。
「ワレは構わんぞ別に」
「いえ絶対に魔法申請させます。イヤがるようなら拷問してでも」
古株の連中にはキー・ボードォの操作を面倒がるヤツもまだ多い。
マウスウの操作も慣れれば楽なのだが。
「同士アンジェリカよ。大魔王グラディウスの名で文を発信すべし!」
「準備してあります。こちらでよろしいでしょうか?」
この秘書にかかれば仕事は秒殺、いやゼロ殺だ。
流れる仕草で渡される上質な魔王紙には、本文から宛名まで全て出来上がっている。
流石としか言葉がないのは仕方あるまい。
どうしてここまで出来るのかワレにはサッパリわからんわ!!
「ご確認いただけましたら魔法サインを入れて頂くと完成ですわ」
同士アンジェリカ。その情報網と推察力そして気配り力。
少々やりすぎではないか?という疑問は心のタンスにしまうしかない。
部下の見せない努力と才能には感謝すればよい。野暮はなしだ。
お主はすでにワレの分身である。
「それでは悪魔王殿に送信しておきますわ。大魔王様の分身たるこのアンジェリカが!」
頬を赤らめ目を潤ませるお主の感激がワレに確かに伝わったのである!




