12. 悪魔襲来Ⅱ 2 (side:ベノン)
もう何度目の念話になる?
俺は確かに頑張った部下たち、魔王軍の精鋭達に宣言した。
「後は休んでおけ」
「俺が引き受けた」
どのみち俺の部下達の疲労は限界だ。
今更何かの役割を求めるなんてとても出来そうにない。
しかしな?
「軍団長!悪魔王出ましたけどうちら大丈夫なんっすか!?」
大魔王様の前に現れた悪魔王のホログラム、これはマズイ!
これは真の強者同士のみが久しぶりに会した際に行う”エールの交換”が始まる兆し!
「ぐ、ぐんだんちょー!、悪魔王の魔眼から明らかにやっべーのが溢れてます!!!」
いいからだまれ!
「ちょ、あんなのくらったら俺達は魂の根源から吹っ飛んじゃいますよ、ウチラほんとに休んでていいんですよね!?なんかすれって言われてもどの道ムリなんスけどね!!!!」
早い、早すぎるぞ伏線の回収が!
やっぱりか、やはりそうなのか!?
今の俺の後ろには3千万の民が住まう魔王国と、その前には俺が連れてきた30の精鋭がいる!
俺の結界一つにその命運の全てが託されちゃうのか!!!!
なんか、なんか、これって、今まで通りじゃないか!!!!!
「ぐおおおおおおおお!!!!」
悪魔王の魔眼が発する呪詛の魔力が、大魔王様を目指し大きなうねりを上げて纏わりつく。
いっさいの呪詛を受け付けない大魔王様の魔鎧がそれを弾き、その余波は大魔王様を通り抜けて一直線に俺の方に - 俺達と魔王国の上空に - 襲い掛かる!
これを防げねば俺は大魔王様の右腕と呼ばれる資格はない!!
たがだか余波であるはずの呪詛は念力は一気に膨れ上がり、ついには巨大な骸骨の姿となる。
ガチンッ!
シャレコウベは大きく口を開いて結界に喰いつき、呪詛と結界の間で大きな火花が飛び散った!
結界にはビシビシと筋が入り、やがて蜘蛛の巣状のヒビ割れとなり一気に広がっていく。
焦る精鋭たち、わかっているから!頼むからちょっと黙れ!!
「やべやべやべやべ!!」
「ちょま、ちょま、ちょま!!」
お、おまえら!
たしかに俺に任せとけとは言った間違いなくな!
しかし意味不叫ぶ暇があるなら、ちょっとくらいは手伝ってみようってヤツはいないのか。
「グ・ガ・ガ・がああああああ!!!!」
思わずうめき声を出しながら、破られそうな結界を必死に補強し続けるがもう・・
たしかにほんっとマジでヤバイっっつーかヤバヤバっつーか・・
頭の中が白くなっていくううう・・
げ・ん・か・い・・・
意識を手放してしまうその瞬間。
バリイイイイイン!!
魔王国中に俺の結界が粉々になる轟音が響き渡ったまさにその瞬間に悪魔王は目を閉じた。
消える骸骨の呪詛。
俺達も魔王国も九死に一生を得たのだった。
・・・
「間・一・髪!!!!」
ガストンから歓喜の念話が入り、振り向くと涙を流してやがる。
他のヤツラも同じ。
いや泣くなって。
おまえら・・・ほんっと・・・
堪え切れたのはただの偶然な訳がない。
悪魔王は目を閉じる寸前、確かに俺に向かってキシシと笑った。
薄れていく意識の中だったが間違いなく。
大魔王の右腕が試された。
そして必死に張った俺の結界とプライドは悪魔王の余興に木っ端みじん・・・
敵に情けをかけられて虚仮にされて平気なほど、大魔王の右腕のプライドは安くはない。
力をつけるしかない。
大魔王様の名に恥じない右腕であるために。
・・・あと精鋭のハズなのにこいつらもうちょっと頑張れよ!
俺は泣きながら抱き合っている自分の部下たちに宣言する。
「この場から無事に戻れたら魔王軍のスペシャル特訓だ!死ぬまで帰れないから覚悟しておけよ!!」




