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大蜘蛛は愛しの花嫁を溺愛する。  作者: 瓊紗(夕凪.com)
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大蜘蛛の屋敷。

※キャラにオス同士の夫婦がいたことに今更気が付きました。すみません。本話から登場しますが、BLらしい絡みはないです。



―――さて、本日愛しの花嫁をさらっ、あぁいや迎えたわけだが。どうしてこうなった。


「あら、かわいい子ねぇ」

「蜘蛛が恐くないの?いい子ね~」

「しずれもたまにはいい仕事するじゃない♡」


「あのっ、えとっ」


俺の腕の中にいたはずの花嫁は、蜘蛛女どもに強奪されていた。いや、彼女たちに傷つける意思はなく、俺の花嫁として歓迎してくれているのでそれはそれでいいのだが。


「貴様ら!ふゆはは俺の花嫁だぞ!」


『むー、いいじゃないのー』

一応、主張はしてみたのだが、一同そろってふゆはを囲って放そうとしないし。

うぐぐっ。


「それに!大蜘蛛の長の一族の後継者はあんただからそうなってるけど、蜘蛛は基本、女の方が強いのよ!」

そう豪語したのは、みんなからあねさんと呼ばれている蜘蛛女。因みにナガコガネグモと言う種類で、よく田んぼにいて、黄色と黒の脚とボディでジョロウグモと間違われる蜘蛛だ。しかしよーく見ると細かいところが違うし、蜘蛛の巣の形状も違ったりする。そしてヒト型に擬態した彼女は腰まであるストレートロングヘアーを持っており、その髪は黒地に金のメッシュ。瞳は切れ長で、金色。体型はボンキュッボン。外見上は人間の和服美女そのものだが、本性は蜘蛛だから、背中から蜘蛛脚を出すこともできるし、蜘蛛の姿にもなることができる。

その際もーー大型の蜘蛛妖怪だからめちゃくちゃでかい。ついでにヒト型でも高身長。蜘蛛妖怪はだいたいがメスの方が身長も高い。


「それに花嫁さん、かわいい、です!」

続いて、もじもじしながら告げたのは、シボグモモドキと言う種類の蜘蛛女であるゆららだ。彼女は人懐っこく、茶髪に茶眼がたれ目がちでとてもかわいらしい大和撫子風美女である。

彼女自体に害はない。しかし背中からはもっふもふの蜘蛛脚を出しており、ふゆはがめちゃくちゃ夢中になっていた。

うぐっ。あの魅惑のもっふもふに、ふゆはも囚われてしまうだなんて。俺ももっふもふなのに。

シボグモやシボグモモドキたちのもっふもふにはなかなか及ばない。


「それに、メス同士じゃないと分からない話もあるでしょう?こちらに来たばかりなのだから」

優雅に告げたのは、もみじねえさんとみなから呼ばれる鮮やかな和服に身を包んだ美人だ。彼女は目尻に紅を添えたとても美しい姿で、茶髪に襟足が長めな髪型をしている。頭からは赤い2本の角が伸びており瞳は銀で、優し気な表情を浮かべている。

メス同士、ねぇ。一応、椛姉さん・・・オスなんだけど。


「うむ?何か余計なことを考えなかったか?」

俺の横にずいっと姿を現したのは、灰緑の髪に椛姉さんとよく似た銀の瞳を持つ青年の姿の蜘蛛妖怪だった。そして頭からは黒い角が2本生えている。


彼はすだれと言い、蜘蛛の種類はコケオニグモである。因みに椛姉さんはニシキオニグモ。


「いや、別に?」

簾と椛は夫婦である。椛姉さんはオスだが、椛姉さんの方が妻の方。


「さぁ!今日は宴ね!酒出しなさいな酒!」

そして元気に声をあげたのは、黙っていれば美女なのに、酒豪のユズリハ姉さんだ。彼女はマユミオニグモと言う種類で、腰まである長い黒髪に瑠璃色の瞳、頭からは黒い2本の角が伸びているボンキュッボンの和服美女だった。


「ふゆはちゃんも飲むでしょ?うふふっ」


「い、いえ、私はその、20歳まで飲めないので」

そうだそうだ!成人年齢は18歳になったが、酒は依然として20歳までダメなのだ。人間と言うのは。


「あら、残念。じゃぁ、私たちがその分飲むわねっ!!」

いや、むしろ最初からそれ以上飲むつもりだろうこの蜘蛛女どもめ。


「まずは部屋に案内する。お前たちは、散れ」

ちゃんと夫婦の部屋も用意したのに。いきなりコイツらに強奪されたものだから、ペースを乱されてしまった。


「じゃぁ私たちも行くわよ」

と、姐さん。

「そうよね。オスはみんな、狼なのよ」

と、ユズリハ姉さんが続ける。


「いや、俺たち蜘蛛だろう!?」

狼妖怪とちゃうわっ!!


「大丈夫よ、ふゆはちゃん。いきなり口から糸出してぐるんぐるんにされたりしないように、私たちがついていてあげる」

いや、縁起でもないことをまたぺらぺらと。


「そもそも、俺は口から糸を吐く蜘蛛じゃないから」

「私の仲間はテレビでよく吐いていますけどね」

そう、朽葉がくすりと微笑む。

まぁ、確かにテレビとかでよくみるわ。だが口から糸を吐く蜘蛛は限られている。普通吐かないから。妖怪ツチグモがよく糸を吐いているが、ツチグモの仲間である朽葉も吐かない。

因みに朽葉の蜘蛛の種類はエゾトタテグモと言う。土の中に巣を作って暮らす蜘蛛の仲間である。


「そう、なのですか?ちょっと見たかったです」

と、ふゆはが残念そうに言う。え、見たかったのか?

あれ見たかったのか!?


「そうだな、どれ、ちょっとこちらへ来い」


俺は新たにこの屋敷に来て、もともとこちらに住んでいるちび蜘蛛たちに挨拶していたネコハエトリのちび蜘蛛・にゃーちゃんの側に寄る。


「にゃ?」


「ちょっとこやつに用があってな」


にゃーちゃんと一緒に群がっていたちび蜘蛛をひょいっと抱き上げる。

ウチは大蜘蛛の屋敷だ。家の中に入ってくるような種類の蜘蛛が元となったちび蜘蛛たちも多く存在する。

因みに通常の生き物の蜘蛛は共食いと言うのをすることもあるが、蜘蛛妖怪はそうせずとも生きていけるので、相当な頭おかしい蜘蛛妖怪でなければそう言うことはしない。

―――その必要ないし。


「ほら、ふゆは。こやつは口から糸を吐く種類だ」


「ぬしさま?」

ちび蜘蛛がこてんと首を傾げる。稲穂色に茶メッシュの入った髪を持つ、茶色の髪のちび蜘蛛は、俺を見上げたあとじっとふゆはを見やる。


「糸を吐いてくれ、ゆや」

そのちび蜘蛛の名を呼んでやればーー


「???」

あ、完全にハテナを浮かべている。


「そりゃぁそうであろう。糸を吐くのは獲物や、危機を感じた時のみだろう」

そう、簾が告げる。いや、まぁそうだよな!?普通大蜘蛛の長の花嫁の前で吐けと言われて吐くちび蜘蛛はいないよな!?


まずいまずい。花嫁かわいすぎて見境なくなってきた。


「ご、ごめんなさい!私が無理を言ったから!」

ふゆはが狼狽える。

そんな表情も、かわいいな。


「しずれさま、頭おかしいのはアンタの方です」

いやいやいや、朽葉ぁっ!?何それ、お前俺の頭の中の言葉読んだのぉっ!?そんな能力ないはずだが!?


つー・・・


しかしゆやは、サービスしてくれたのか、口から糸を出して俺の手につーっとつけていた。


「ん」


「あ、うん。ごくろう。菓子をやろう」


「ん」

こくんと頷くと、糸を回収しぴょいっと俺の腕から飛び降りるゆや。


「ほら」

金平糖の入った包みをやれば、喜んでちび蜘蛛たちの輪に戻って行った。


「ゆやちゃん、サービスしてくれたんですね!」


「あぁ、良かったじゃないか。多分、にゃーちゃん、だったか?あれが懐いているからかもしれないな」

「ゆやちゃんも、にゃーちゃんも、ありがとう」

ふゆはが手を振れば、ちび蜘蛛たちがきゃっきゃと手を振っていた。

うん。

嫉妬なんてしない。俺はおとなの蜘蛛。


「ちび蜘蛛相手に嫉妬はさすがに、みっともないのでは?」

「いや、違うぞ朽葉ぁっ!!」

だから何で俺の心の中を読むんだよっ!!



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