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第9話 対面

 俺はエレベーターに乗って事務所の入っているフロアで降りる。

今日は休日だというのに、スーツ姿の大人が何人も居る。


 お疲れ様ですと思いながら、自分のIDカードをかざして事務所の扉を開ける。


「美南さん、お疲れさまです」


 俺は自分のデスクで仕事をしている美南さんに声をかける。


「あ、ユーキさん。お待ちしてました。どうぞ、ご案内します」

「ありがとうございます」


 美南さんと共に、会議室へと向かう。


「もう、ひなさんもいらしてますから」

「そうなんですね」

「なんか、嬉しそうですね」


 美南さんが俺の顔を見て言った。


「まあ、こんなに早く会えるとは思ってませんでしたからね」


 俺としては、つい先日話題に出したばかりの人である。

それが、こうも早く会うタイミングが巡ってくるとは、口に出してみるもんである。


「失礼します」


 美南さんが、会議室の扉をノックして中に入る。

そこには、ひなさんと担当マネージャーさんが座っていた。


 ひなさんの担当さんは何度か顔を合わせたことがあるので、顔見知りではある。


「お待たせしてしまったみたいですみません」


 そう言って、俺はひなさんの対面に座ると、マスクとメガネを外した。


「い、いえ、私が早く来すぎただけですから」

「それでも、女の子を待たせてしまったことには変わりありませんよ」


 ひなさんは顔を赤くして俯いた。


「ユーキくん、開幕から飛ばしすぎ! 口説いてるの?」


 美南さんが肘で俺の脇腹をツンツンしてくる。


「すみません。そんなつもりじゃないんですけど。改めまして、ユーキと申します」

「さ、佐藤ひなです!」

「そんなに緊張しないで大丈夫ですよ。よろしくお願いします」


 俺はひなさんに右手を差し出す。


「よろしくお願いします!」


 ひなさんが俺の手を握り、握手を交わす。


「ひなさんの動画、いつも見てますよ。すごいですよね。安定した数字を取ってて」

「そんな、私なんてまだ全然。ユーキさんに比べたら」

「でも、まだティックトックを初めて3ヶ月くらいですよね。それは誇っていい数字ですよ」


 俺がティックトックを初めて3ヶ月目はまだ全然芽が出ていいなかった時期だ。


「動画配信サイトの方も順調に登録者が増えて行っていますし、この調子で行けば100万人も見えて来ますね」

「ありがとうございます! 私、ユーキさんに憧れてティックトックを始めて!」

「嬉しいです。これからは同じ事務所なので、お互い頑張りましょうね」

「はい!」


 ひなさんの方もだいぶ緊張が解けてきたような印象である。


「せっかくですから、一緒にティックトック撮りますか?」

「え、いいんですか!?」

「もちろんです。ひなさん、あまりコラボしないようですが、ひなさんがよければ」


 それも彼女のすごい所の一つだ。

ひなさんはほとんど他のTikTokerとコラボしていない。

純粋な彼女の力だけで、ここまで登ってきたのである。


「ぜひ、お願いします!」

「じゃあ、早速なんか撮りましょうか。撮りたい音源とかあります?」

「これとか、これとか、どうです?」


 ひなさんがスマホを俺に向けてくる。


「いいですね。それにしましょう。美南さん、スタジオ借ります」

「どうぞどうぞ」


 こうして、佐藤ひなとのコラボが決定した。

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