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第8話 事務所へ

 そして、週末の土曜日となった。

今日は佐藤ひなさんと会う日だ。


 俺は午前中には起き出して、メールのチェックと返信する。

そこから、SNSなどを巡回して最近のトレンドなどを調べる。


 休日の空いた時間は主にそういったリサーチをしていることが多い。


 昼食をまりんと一緒に取る。

昼食が終わったら、俺は出かける準備に取り掛かる。


「流石に、今日はちゃんとセットしてかないとダメだよな」


 いつもなら、ボサボサの頭でインキャスタイルで行くのだが、初対面の人相手にそれでは失礼だろう。

どうやら、ひなさんは俺に憧れてくれているらしいので尚更である。


「あれ? お兄ちゃん出かけるの?」


 食器を片付け終わったまりんが、洗面所の鏡と睨めっこして髪をセットしている俺を見て言った。


「ちょっと事務所行ってくる」

「そうなんだ。でも、珍しいね。お兄ちゃんが事務所行くだけでちゃんとセットするなんて」


 普段なら、事務所に行く時も前髪はおろしていた。

美南さんは俺の事情も知っているので、特に何も言われた事は無い。


「今日は初めましての人と会うからな。ちょっと、俺も気になる人だからちゃんとしなきゃと思って」

「お兄ちゃんが気になるってのもまた珍しいね。基本、無関心かと思ってたよ」


 確かに、俺は他のインフルエンサーと積極的に絡む事は今まで無かった。


「ちゃんと関心はあるさ」

「どんな人なの? お兄ちゃんが気になる人って」

「佐藤ひなさんって知ってる」

「えー!! ひなさんと会うの!!」


 まりんが急に大きな声を出した。


「知ってるの?」

「お兄ちゃん、ひなさんはもう10代の憧れだよ。マジで可愛いよね!」

「そうなんだ」


 確かに、10代20代を中心にファンを獲得しているとは思っていたが、そこまで浸透しているとには驚いた。


「なんで! なんでひなさんと会うの?」

「そりゃ、同じ事務所に所属することになったから、顔合わせ的な?」

「え、そうなの?」

「あーそういや発表はまだだったか。このことはまだ内緒で」


 正式に発表されるのは明日の夜だと聞いている。


「もちろん! あ、サインもらって来てよ!」


 まりんはどこから持って来たのか、サイン色紙を俺に差し出す。


「分かったよ」


 俺は色紙を受け取るとカバンに仕舞った。


「じゃあ、行ってくる」


 俺は髪を整えて着替えを済ませた。

今日はベージュのセットアップにした。


「お兄ちゃん、その格好でバレない?」

「まあ、マスクとメガネかけたらちょっとは誤魔化せるかな」


 玄関でマスクと伊達メガネをかける。

これだけでもだいぶ雰囲気は変わるものである。


「確かに。じゃあ、行ってらっしゃい」

「ありがと。多分、夕方には帰ると思うけど、また連絡する」

「気にしなくていいよ楽しんできなよ」

「あいよ」


 俺の自宅から事務所までは徒歩を含めて30分ほどの距離になる。

最寄駅から電車に乗って、新宿駅で降りる。


 さすがは、乗降員数でギネス記録に登録されている駅である。

休日ということもあり、すごい人混みだ。


 南口から出て少し歩いた、大きなビルの6階にNEOプロダクションが入っている。

俺は事務所のビルに入り、エレベーターを待った。

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